内容説明
立憲国家となった日本は、日清戦争、北清事変、日露戦争とほぼ五年ごとに大きな戦争を繰り返し、台湾と朝鮮という二つの植民地を獲得した。帝国議会が開かれた国内では、藩閥政府と民党のせめぎあいが続く一方、国民統合の動きも見られる。「輝かしい明治」像を問い直しながら、「大日本帝国」が姿を現した世紀転換期の二〇年を描く。
目次
第1章 初期議会
第2章 条約改正
第3章 日清戦争
第4章 台湾征服戦争
第5章 日清戦後と国民統合
第6章 民友社と平民社
第7章 日露戦争と韓国併合
おわりに―「輝かしい明治」論とナショナリズム
著者等紹介
原田敬一[ハラダケイイチ]
1948年岡山市に生まれる。1982年大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。専攻は日本近代史。佛教大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんすけ
15
年表を読んでいるような気分になることも多かった。5年ほど前に読んでいるのだが、その時はそうした気分は生じなかったと思う。 明治憲法成立直後の国会が赤字財政に苦慮していたことが脳裏にあり、事象羅列のような叙述もさほど気にならなかったのかもしれない。 また中江兆民が国会を去った後は板垣退助や後藤象二郎などの民権を捨てたかのような行動ばかりが目に付いたのも確かだった。 そういうこともあり中断も考えていたが、日清戦争終了後の記述には興味を抱かされた。2021/03/03
fseigojp
15
日露の戦費の過半が外債だったとは知らなんだ かなり無理筋の戦争だった2020/07/17
中島直人
14
邪道な読み方かもしれないが、戦争を巡る政治経済状況よりも、藩閥政府が如何に議会の操縦に苦労していたかの方が印象に残った。2017/11/04
coolflat
12
日清戦争前後~日露戦争~韓国併合までの日本の歴史。日清戦争が世界に与えた影響。この後から列強による中国分割が始まる。アヘン戦争、アロー戦争の時は、本格的な植民地統治に至らなかった。また1884年の清仏戦争は、清の粘り勝ちであり、清の敗北ではなかった。その後日清戦争までの10年間はアジアはほとんど平和であり、列強による中国分割という危機はまだ始まっていなかった。だが日清戦争は、清の軍事力が弱体だと世界に暴露し、列強諸国に対する軍事力がアジアにはないことを伝えてしまった。以後、列強はアジアへの侵略を再始動する2015/10/24
シンショ
7
日清戦争後に建立された記念碑には「戦勝記念碑」など戦争に勝ったことをアピールするため刻まれたものが多いという。ただ、そこには戦死者の名が刻まれるが、戦地で病死した人は刻まれなかったというのも印象的だった。 日露戦争になると「忠魂碑」など国への忠誠を称えるものへと変わる。しかし戦死者の数は膨大で全員を刻むのにはコストがかかるという現実的な理由で省かれてしまったという。特に下士官・兵士という立場の下の者ほど刻まれなかったというのにも、お国の都合という現実が表れていると感じた。2021/09/02