出版社内容情報
いまの社会に生きる人々には、どのような不平等があるのか。子ども、若者、勤労者、高齢者というライフステージごとに、その実態と原因について考察。生き方の不平等をなくしていく道を「お互いさまの社会」の創出に見出す。
内容説明
いまの日本社会で実際に選択できる「生き方」には、収入やジェンダー、年齢によって著しい不平等があるのではないか。子ども、若者、勤労者、高齢者というライフステージごとに、その実態と原因について、数々のデータをもとに考察。生き方の不平等をなくしていく道を「お互いさまの社会」の創出に見出してゆく。
目次
序章 不平等を語る
第1章 ゆりかごが決める人の一生―子どもたちの不平等
第2章 たまたまの勝ち組、たまたまの負け組―若者たちの格差
第3章 稼ぐ人・世話をする人の分かれ道―女の働き方・男の働き方
第4章 蓄積された不条理―高齢者たちの格差
終章 お互いさまの社会に向けて
著者等紹介
白波瀬佐和子[シラハセサワコ]
1958年生まれ。1997年オックスフォード大学博士号取得。現在、東京大学大学院人文社会系研究科准教授。専攻は社会学、社会階層・格差論、少子高齢化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おさむ
32
日本の社会保障のあり方を、さまざまな研究成果を踏まえて提言する新書。10年近く前の本著だが、その指摘は今も通じます。まず子供の機会不平等をなくすには母子家庭への支援。若者には余裕を持った仕事選びの時間の確保と、 失敗したときのリカバリー。そして、女性の労働力拡大のための男女間の待遇格差の是正。高齢者は世代内での格差をなくす努力‥‥。それぞれの段階に応じた政策や制度設計が求められている。「お互い様の社会」を構築するには、自分ごとに感じられる想像力、つまり国民の意識改革が最重要だと思う。2019/11/23
ちーたん
14
子ども、高齢者、若者、男女、いろいろな不平等を挙げています。不平等がいけないのではなくて、生まれた環境によって、その時代によって人が人らしい生活が出来なくなるシステムは変えなければいけないと言っています。子どもたちに税金を払ってきた高齢者が貧困になること。未来を支える子どもが貧困になること。こうなる国のシステムは未熟です。2014/09/28
無識者
11
日本の社会保障制度はかなり硬直的で、社会の実態ついていけてない。ある特定のライフサイクルをぜんていにしており、そこから外れると大きな不利益を被りやすい。また機会の均等の面からいっても社会保障の制度が男女の役割を固定している面がある。著者は貧困をミクロな視点で捉えル必要性を訴える。2016/05/15
雨巫女。@新潮部
9
生き方をなかなか変えれない。このままでは、好転しないのもわかるが、じゃあどうすれば、いいの。個人レベルの問題ではない。2010/11/05
sk
8
人生の選択肢が不条理に制限されて「生き方の不平等」が生じている現代日本への処方箋。面白かった。2019/08/18