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岩波現代文庫
「学び」の復権―模倣と習熟

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  • サイズ 文庫判/ページ数 277p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006002640
  • NDC分類 372.1
  • Cコード C0137

出版社内容情報

江戸時代の高い教育水準はいかにして可能だったのか.明治以降の近代教育で捨て去られたものとは何か.本書は江戸期の手習塾(寺子屋),藩校や内弟子制度での学びの実態と学習法の特質を具体的に描き出し,「模倣と習熟」が現代教育再生のヒントになることを示唆する.長期的視点で,日本の学校を再検討しようという教育関係者必読の書.

内容説明

近代に学校が普及する以前、日本人はどのように学んでいたのか。近代学校は江戸時代の教育の何を受け継ぎ何を捨てたのか。本書は手習塾(寺子屋)や藩校、徒弟制の江戸期の学びの実態を具体的に描き出し、歴史の側から近代学校を透視する。「模倣と習熟」に込められた「学びの身体性」に日本人の「学び」の原点を見出し、現代教育再生の鍵を示唆し、あわせて学びの可能性の大きさを説く必読の一冊。

目次

序章 「滲み込み型」と「教え込み型」
第1章 手習塾(寺子屋)の学習
第2章 儒学の学習
第3章 貝原益軒の思想―近世学習論の思想的背景
第4章 貝原益軒の教育論
第5章 徒弟制と内弟子
第6章 現代の学校と学習文化

著者等紹介

辻本雅史[ツジモトマサシ]
1949年愛媛県に生まれる。京都大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。光華女子大学、甲南女子大学教授を経て、京都大学大学院教育学研究科教授。文学博士。専攻=日本教育史、思想史。江戸期の教育と思想の研究を通じて、日本社会論、教育文化論を読み解く作業を進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ロラン

3
著者の専門は日本教育史・思想史。西洋近代を前提として生きる現代日本の私たちは、もっと江戸時代の儒学の学びのあり方を再評価してよいのかもしれない。江戸時代の儒学とは、まずは素読から始めて文章のリズムを体感しながら覚えるように、聖人の教えを身体に滲みこませて学ぶものであった。師がテキストの解釈を教えるのは、素読が一定の水準に達してからである。第1章「手習塾(寺子屋)の学習」、第4章「貝原益軒の教育論」が特に参考になった。また、第6章では現代の公文式教育の功罪についての記述も大変示唆に富んでいた。2017/07/29

有智 麻耶

3
江戸時代の教育に、教育再生の鍵を探り、学びの捉え方自体も組み替えて行こうとした一冊。藩校や寺子屋の教育を、近代以降の「教え込み型」教育と対比させ、師匠を模倣することによる「滲み込み型」の教育としている。それは日本に伝統的に根付いた「教えない」教育であるが、近代になってそれが西洋の教育スタイルに変わり、現代まで続いている、このことに教育の問題を見る。一方で、身体化が万能かというとそういうわけでもなく、そこから校則についても批判的に検討される。教える側と学ぶ側の信頼関係をいかに作っていくか考えていくべきだ。2015/08/01

Asakura Arata

1
学校は崩壊し、高学歴でも安定できない時代である。なぜ勉強して高い偏差値の大学に行くか分からない状況であるのに、相変わらず皆真剣に勉強をするその理由は、この本を読んでも解明できなかった。2012/05/10

hmgns

1
近代以前の日本における教育史の観点から近代学校教育の抱える矛盾を痛烈に批判する作品。近代西洋の教育学や近世の封建的身分制度などからの視点こそ書かれてはいないものの、昨今の日本の教育が抱える深刻な問題点を根本から厳しく指摘している点では、実に痛快な一書と言える。教育関係者はもちろんのこと、多くの方々に推薦したい。2012/07/26

Ikkoku-Kan Is Forever..!!

0
辻本雅史先生というと『近世教育思想史の研究』を読んだとき「やっと卒論を書き終えた」というあとがきにえらく感動したのを今でも覚えている。本書は「私の初めての一般向け単著」p269とあるように読みやすく違う面白さがあった。本書の問題意識は序章の「いまの教育を、江戸時代の眼で見れば、どのように見えてくるのか」p10で明らかだが、その核心は(現代の学校教育について)「学ぶことの意味を、思想的に語りうる学習の論理や『哲学』を、もっと正面から模索するべきではあるまいか。」p201という言葉に集約されている様に思える。2012/06/05

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