出版社内容情報
妖怪に秘められた敗者たちの怨み声を聞く
大江山の酒呑童子、那須野の妖狐・玉藻前、是害坊天狗、大魔王・崇徳上皇……
妖怪は山ではなく、人の心に棲息している。妖怪とは幻想である。そして、自分たちの否定的分身である。国家権力に滅ぼされた土着の神や人々の哀しみ、怨み、影、敵が形象化されたものである。
酒呑童子、玉藻前、是害坊天狗、崇徳上皇、紅葉、つくも神、大嶽丸、橋姫。日本妖怪変化史に燦然と輝く鬼神・妖怪たちに託されたこの国の文化史の闇を読み解く。
酒呑童子は山の神や水の神と深いつながりを持っている。彼ら鬼たちは龍神=大蛇=雷神のイメージと重ね合わされており、酒呑童子が大酒飲みと描かれているのは、近江誕生説にしたがえば、彼がヤマタノオロチ=伊吹大明神の血を引く異常な「人間」であったからである。酒呑童子は仏教によって、もともと棲んでいた山を追われてしまう。それは山の神が仏教に制圧されたプロセスと同じであろう。(中略)酒呑童子の物語から、土着の神や人びとの哀しい叫び声が聞こえてくる。征服者への怨み声が……そしてその声は、自然それ自体が征服されていく悲鳴であるのかもしれない。――<「第一章 大江山の酒呑童子」より>
第1章 大江山の酒呑童子
第2章 妖狐 玉藻前
第3章 是害坊天狗
第4章 日本の大魔王 崇徳上皇
第5章 鬼女 紅葉
第6章 つくも神
第7章 鈴鹿山の大嶽丸
第8章 宇治の橋姫
小松 和彦[コマツ カズヒコ]
著・文・その他
内容説明
妖怪は山ではなく、人の心に棲息している。妖怪とは幻想である。そして、自分たちの否定的分身である。国家権力に滅ぼされた土着の神や人々の哀しみ、怨み、影、敵が形象化されたものである。酒呑童子、玉藻前、是害坊天狗、崇徳上皇、紅葉、つくも神、大嶽丸、橋姫。日本妖怪変化史に燦然と輝く鬼神・妖怪たちに託されたこの国の文化史の闇を読み解く。
目次
第1章 大江山の酒呑童子
第2章 妖狐 玉藻前
第3章 是害坊天狗
第4章 日本の大魔王 崇徳上皇
第5章 鬼女 紅葉
第6章 つくも神
第7章 鈴鹿山の大嶽丸
第8章 宇治の橋姫
著者等紹介
小松和彦[コマツカズヒコ]
1947年東京生まれ。埼玉大学教養学部卒業。東京都立大学大学院博士課程修了。信州大学助教授、大阪大学文学部教授を経て、国際日本文化研究センター教授。専攻は文化人類学・民俗学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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