ブルーバックス<br> もの忘れの脳科学―最新の認知心理学が解き明かす記憶のふしぎ

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ブルーバックス
もの忘れの脳科学―最新の認知心理学が解き明かす記憶のふしぎ

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  • サイズ 新書判/ページ数 189p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062578745
  • NDC分類 141.34
  • Cコード C0240

出版社内容情報

「もの忘れ」はなぜ起こる? どうすれば防ぐことができる? その鍵はワーキングメモリと呼ばれる脳内システムにあった! 買い忘れをする、知人の名前が思い出せない、電話をしたのに、肝心の要件を忘れてしまう……。
 多くの人が一度は経験したことのあるだろう「もの忘れ」。これは、けっして老化や認知症のサインだとは限りません。
 日常によくあるもの忘れの多くは「ワーキングメモリ」という、記憶システムをうまく使いこなせないことが原因だと考えられています。ワーキングメモリとは、目的を達成するまでの間、必要な情報を必要な間だけ、脳にとどめておくシステムです。認知症におけるもの忘れはワーキングメモリがうまく使いこなせないというレベルにとどまるものではありません。また、認知症には原因となる疾患があり、アルツハイマー型にみられる神経細胞での異常タンパク質の蓄積などの病変があり脳の病気といえます。
 では、たとえば買い忘れはなぜ起きるのでしょうか。買い忘れをする場合、買い物に行く途中で友人と出会って話に夢中になったり、買い物をしている間に新たに欲しいものを見つけたりといったことがあるからではないでしょうか?
 ワーキングメモリの容量には限界があります。私たちは無限にものを記憶することはできません。ところが、憶えなければいけない事は絶え間なくでてくるので、不必要な情報を正しく判断して適宜消去していくことが必要です。どの情報を活性化させようか、どれを消去しようかとワーキングメモリがはたらいている時に他のことが起きると注意がそれてしまいうまく働かず、必要な情報を記憶から引き出せないという事態が起きます。
著者達が開発した記憶容量を測るテストを用いた調査によると、成績のよい人はたくさんのことを憶えているのではなく、必要な情報にだけうまく焦点をあわせていたことや語呂合わせなどの工夫をして、ワーキングメモリの負担を軽減していることが分かりました。
 もの忘れは、決して記憶力そのものが低下したからではなく、自分の記憶システムをうまくつかいこなせないために起こると言えます。
 日々の生活を支えるワーキングメモリの機能を健やかに保つ方法は、私たちの生活の中にこそあります。
 ワーキングメモリの仕組み、またうまく使いこなし健やかな脳の活動を保つにはどうすればよいのかを、最新の脳科学、神経心理学をもとに第一人者がくわしく解説します。

第1章 もの忘れとワーキングメモリ
日常に必要な記憶/こころの黒板/認知症とは …
第2章 短期記憶とワーキングメモリ
記憶のしくみ/第3の記憶システムワーキングメモリ/マジックナンバー4/ワーキングメモリのモデル …
第3章 ワーキングメモリをはかる
「ながら」記憶と言語の理解/全てを憶えようとしないことが大切/大切なのは記憶の更新/イメージの有効活用/自己モニタリング …
第4章 ワーキングメモリの脳内機構
脳の構造/中央実行系の脳内基盤を探索する/個人差を生み出す脳内機構 …
第5章 加齢とワーキングメモリ
高齢者の記憶の特徴/記憶が更新されない!/「丸暗記」はよくない/加齢による神経基盤の変化 …
第6章 ワーキングメモリの発達
10歳でみられる変化/ワーキングメモリは用意周到/知的発達にワーキングメモリは欠かせない/こころの理論 …
第7章 ワーキングメモリを強化する
2つのことを同時にするのは難しい/違いは右半球にみられる――イメージの有効活用/記憶できることだけが重要ではない …
第8章 ワーキングメモリと情動
楽しいときにはワーキングメモリがよくはたらく/わくわくすることでもの忘れが減少する? …


苧阪 満里子[オサカ マリコ]
著・文・その他

内容説明

日常のありふれたもの忘れの多くは、認知症や記憶力の低下によるものとは限りません。記憶システムの1つワーキングメモリをうまく使いこなせていないことが原因です。もの忘れをしたから認知症ではないか…と不安に思うことがかえって悪影響になることも。もの忘れの起こるしくみや記憶力を維持する方法を最新の認知心理学をもとに丁寧に紹介していきます。

目次

第1章 もの忘れとワーキングメモリ
第2章 短期記憶とワーキングメモリ
第3章 ワーキングメモリを測る
第4章 ワーキングメモリとその脳内機構
第5章 加齢とワーキングメモリ
第6章 ワーキングメモリの発達
第7章 ワーキングメモリを強化する
第8章 ワーキングメモリと情動

著者等紹介

苧阪満里子[オサカマリコ]
1979年京都大学大学院教育学研究科博士課程教育心理学専攻修了。教育学博士。1985年大阪外国語大学外国語学部助教授、2001年教授、2007年より大阪大学大学院人間科学研究科教授。大阪大学脳情報通信融合研究センター教授(兼任)。日本学術会議第一部会員、日本ワーキングメモリ学会理事。専門は認知神経心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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