内容説明
天皇はいつ生まれ、どんな役割で、いかに統治したのか。三輪山のふもと、ヤマトに生まれた王を中核として展開される古代国家統一への道。その正統性の根拠は何なのか。また東アジア情勢が与えた影響とは?神意を知る存在としての宗教的機能を中心に、天皇号・大和政権の成立過程と支配の構造を明らかにする。
目次
序章 「天皇の歴史」のために
第1章 卑弥呼と倭の五王
第2章 『日本書紀』『古事記』の伝える天皇
第3章 大和朝廷と天皇号の成立
第4章 律令国家の形成と天皇制
終章 天皇の役割と「日本」
著者等紹介
大津透[オオツトオル]
1960年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。山梨大学助教授を経て、東京大学教授。専攻は日本古代史、唐代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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isfahan
4
三種の神器のうち鏡は魏の明帝から卑弥呼に贈られた三角縁神獣鏡、剣は百済から贈られ石上神宮に伝わる七支刀のように外部からもたらされたレガリア、威信財に起源を持ち、勾玉は大和内部で伝わってきたものであるらしいこと。日本という国号はまさに列島の西、唐から見て「日の上るところ」であるという、中国からの視線を獲得しなければ成立しない国号であるということなど。伝統や神秘のベールの下に語られがちなこの国の淵源について科学的な歴史学の視点で一つずつ解き明かしていく。日本を含む全てのくには他国との関わりの中で成立している。2016/03/12
Mr.deep
3
序論の天皇の成立に関する一般論は非常に楽しく読めましたが、本編の各論に入った途端ちんぷんかんになって、自分の日本古代史の理解度をまざまざと見せつけられました。2023/11/12
ktkt
3
文献史学的な古代史の概説書で考古学の出番は少なめ。ある程度知識がないと辛いが王権論や宗教祭祀にも踏み込んでいて面白かった。2023/10/06
讃壽鐵朗
3
実に明快な古代史総説2021/10/05
KAZOO
3
日本の歴史を天皇制という観点から俯瞰した全集で、このような歴史の本もあってもいいのかなあということで読むことにしました。天皇制を本格的に書いた本というのは単行本ではあるのですが、このように通史で学者が書いた本は皆無です。最新の発掘の成果なども取り入れて興味深く読みました。2013/04/24