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講談社学術文庫
万博と戦後日本

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  • サイズ 文庫判/ページ数 331p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062920612
  • NDC分類 606.9
  • Cコード C0136

出版社内容情報

国、地方、企業、知識人、市民運動家の駆引
戦後日本のエポックを画した万博。その企画・実行を担う様々なエージェントの存在。博覧会の裏で動いていた政治力学を抉り出し、日本社会が孕む問題点を抉り出す

(原本『万博幻想』を改題)

内容説明

戦後日本を画した五つの万博。高度成長の熱狂と「大阪万博」、沖縄返還と「海洋博」、研究学園都市と「科学博」、環境問題と「愛・地球博」。大衆の夢=「成長」と国家政策=「開発」は、所得倍増計画の下に癒着、そして乖離し、開発主義政策システムは破綻する。万博の裏で蠢く国家、官僚、地方、知識人、産業界、市民運動家の葛藤に、戦後政治の限界を看破する。

目次

序章 戦後政治と万博幻想
第1章 成長のシンボルとしての万博―東京五輪から大阪万博へ
第2章 沖縄海洋博という分身―「本土復帰」と万博幻想
第3章 学園都市と科学万博―つくば科学博と幻想のほころび
第4章 Beyond Development―愛知万博の転変と選択
終章 万博幻想と市民政治

著者等紹介

吉見俊哉[ヨシミシュンヤ]
1957年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。専門は、都市論、文化社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

雲をみるひと

9
大阪、沖縄、筑波、愛知の各博覧会の開催に至る経緯をまとめた本。関係者間の対立が表面化した愛・地球博のみならず、他の博覧会でも関係者間で思想や考え方の隔たりがあったこと、最終的にどのような結果になったのかがよくわかる。序文にあるようにその後も国の開発主義的な考え方があまり変わっていないことが少しもどかしい。2019/06/09

yamikin

5
『「フクシマ」論』の著者開沼氏の修論指導教官であることが納得できる文体と展開。跡地開発を前提とした万博開催が戦後我が国の万博に一貫して流れる傾向で、それを自然の保護や市民参加型社会の観点で批判することは容易だけど、その開発で飯を食ってきた多くの人々は今後どうすればよいのかという問いは残ったままだ。本書は戦後の我が国の軌跡を万博にフォーカスを当てて辿っていく切ないストーリー。安っぽい小説よりもジーンときました、不覚にも。2011/08/26

にゃん吉

2
大阪万博、沖縄海洋博、つくば科学博、愛知万博という4つの万博を、テーマの設定などの企画する側の動向から考察する。進歩への楽観、インフラ整備、跡地の利用といった開発主義から環境への配慮、市民の声の反映といった変容の兆しまで、万博から、戦後日本の社会の様相、変動が垣間見えます。また、官僚、地方自治体、財界、市民、有識者ら関係者の思惑が錯綜する意思決定の過程に政治が垣間見えます。先般、大阪万博の開催が決まりましたが、万博の新たな意義が見出されているのか、そんな興味も湧くところでした。   2019/06/30

ハチアカデミー

2
B 研究対象としての大阪万博から、当事者としての愛・地球博まで、万博から、戦後の日本の歴史の流れを見た一冊。キャッチコピーがどのようにまとめられるのか、政治家と起業家、文化人がどのように協力・対立していたのかなど、文献によって裏をとり、論が進められる。個人的には、梅棹忠夫が万博においてどのような役回りを演じていたのかをしりたかったのだが、ここはあまり言及されず。それでも、戦後における政治力学や市民運動、ジャーナリズムの影響力を知ることができる力作。ちと、学者に甘い気もするが… それは立場的にしょうがない。2011/12/05

きゃθ

0
万博研究会用。戦後の万博を巡る社会状況と政治的動きを学べる良書。 愛知万博に関わった著者の回想「問題だらけであることなどを早くに指摘していたが…自分から危険を承知で火中の栗を拾って動き出そうとはしなかったのだ。私は結局『東京』の『学者』であって…『活動家』でもなかったということか」は自分への宿題。 愛知万博後の環境負荷の高い跡地開発にBIEがNoを突きつけたのは、「地元の保護派市民グループが基盤になりながらも、全国規模の環境団体が上位の国際機関を動かして」BIEへの書簡が実現したから、という経緯が希望。2022/05/28

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