出版社内容情報
走るとなぜ息が切れるのか。地球にはなぜこれほど多種多様の生物が生息するのか。魔性の気体・酸素と生物の、26億年の進化史。
内容説明
酸素は何でも燃やしてしまう。栄養素を燃やせばたくさんのエネルギーができる。二七億年前、光合成によって海水から酸素ガスが発生したとき、酸素とは無縁だった生物は、その魅力に惹かれて体内に採り入れた。ここに生物は進化への道を選び、多種多様の種が生まれる。しかし一方、酸素はからだの成分も燃やし、細胞を傷つけ、寿命さえ縮めてしまう。ヒトもふくめた生物は、この魔性の気体にどう対処してきたのか。
目次
第1章 山に登るとどうして息が切れるのか
第2章 酸素がない所でどうやって生きるのか
第3章 酸素元素はどこからやってきたのか
第4章 エネルギーをつくるのに酸素はどういう役割をするのか
第5章 低酸素をどう生き抜いてきたのか
第6章 酸素濃度はどう変わってきたのか
第7章 酸素の毒性にどうやって対抗するのか
第8章 酸素は病気にどう関わるのか
著者等紹介
三村芳和[ミムラヨシカズ]
1950年、東京に生まれる。信州大学医学部卒業。東京大学医学部第三外科助手、メイヨー・クリニック(アメリカ)内分泌生理学教室を経て、東京大学医学部准教授。医学博士。専攻、内分泌外科学、外科侵襲学、外科栄養学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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寝落ち6段
4
なぜ生物は酸素を必要としているのか。それは、エネルギー効率が理由である。そのエネルギーをどう取り込むか、生物の体の構造の進化も面白い。2016/12/15
トマス
2
多くの生命に欠かせない酸素は、電子を受け取りやすい性質ゆえにエネルギーを産み出す。地球史レベルでの酸素の増加過程から人体にとっての活性酸素の功罪まで、様々な視点からアプローチする。「酸素」をキーワードに生物、化学、地学の知見が総動員されるので楽しい。2018/06/23
Shun
2
エネルギー効率の観点から呼吸で酸素を必要とする、酸素はどこから来たのか、魚類の鰓呼吸、鳥類の肺の構造など知ることができた。時間別のエネルギー基質の変遷は運動や体重減量の観点で非常に有益だった。読者の対象が誰と想定しているのか分からないが、初耳の専門用語が頻出し、門外漢には難しいので、概要を掴む事に努め、適宜読み流すのが良いと思った。2016/07/20
里馬
1
地球誕生からATP生成までのありとあらゆる酸素のはなし 2008/04/21
ナオ茶房
0
「あらゆる物体を燃やす酸素。生物は、なぜそんな危険な気体を体に取り込むことにしたのか?」がわかる本。内容のおもしろさはもちろん、着眼点の大事さに気付かされます。