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中公新書
ヴィーコ―学問の起源へ

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  • サイズ 新書判/ページ数 241p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121020352
  • NDC分類 137
  • Cコード C1210

出版社内容情報

バロック期イタリアの知識人ヴィーコの思想を紹介。西洋近代の弊害が深刻味を帯びつつある今、ヴィーコの学問批判の意味は大きい。

内容説明

ヴィーコ(一六六八‐一七四四)は、学問的な世界把握にはらまれる理性主義的錯誤の危険性をことのほか鋭く認識していた、ナポリ生まれの哲学者である。大量破壊兵器、環境破壊など、ヨーロッパ的諸科学のもたらした弊害がかつてにも増して深刻味を帯びつつある今日、ヴィーコの学問批判のもつ意味は大きい。本書は『新しい学』の新訳等を完成させた碩学による、ヴィーコの学問観への透徹した案内である。詳細な文献表付。

目次

第1章 ヴィーコの懐疑
第2章 自然学者ヴィーコ
第3章 真なるものと作られたものとは置換される
第4章 諸国民の世界は人間たちによって作られた
第5章 ヴィーコとキリスト教的プラトニズム
第6章 諸国民の創建者にかんする新しい批判術
第7章 最初の諸国民は詩的記号によって語っていた
第8章 バロック人ヴィーコ

著者等紹介

上村忠男[ウエムラタダオ]
1941年生まれ。東京大学大学院社会学研究科修士課程修了。現在、東京外国語大学名誉教授。学問論・思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さえきかずひこ

15
17世紀後半から18世紀前半に活躍したイタリアの哲学者、ヴィーコについての入門書。彼がキリスト教神学にもとづき、神のうちにのみ真理は存在するとの観点から「真理の基準は当の真理自体を作り出した」ので、デカルトの「わたしたちの知性の明晰かつ判明な観念」を「他のもろもろの真理の規準でありえないばかりか、知性自身の規準でもありえない」と批判している第3章が興味深い(P.73)。現代から見れば、神学に制限された立場からの、素朴な理性主義批判にも思えるが、人間の知識がその欠陥からこそ生じているとの見解は刺激的である。2018/05/15

左手爆弾

8
ヴィーコについての入門書ではあるのだが、何しろ著者のライフワークの集大成なので、内容が高度。とはいえ、エッセンスは理解できる。ヴィーコはいわば人間主義で、その限界を踏み越えるようなデカルト主義的な学問には懐疑的である。彼が求めたのは、確実性ではなく蓋然性である。そこでデカルト的なクリティカに対してトピカを、ラチオに対してはポイエーシスを配置する。世界は人間が作ってきたのだから、内在的に理解できるという強い確信がある。世界を1つの書物のように見て、それを知性という辞書によって読むことが方法となるのである。2015/05/26

白義

7
日本では未だマイナーな思想家、ヴィーコをその学問観を中心に解説した好著。デカルト的な理性中心主義に対し、言語やレトリックによる真理の創造や実践、それを行う人間知性に着目したオルタナティブな哲学を構想したのがヴィーコらしい。現代だとパースを思い出すが、知性のプラトニズム的側面も持っている辺り、かなり独特な思想家だ。そのバロック性が強調されているが、確かに他に似たような思想家をなかなか思い付かない。パース、エーコやベーコンに辛うじて近いかもしれない。ヴィーコ本人の著作をぜひ読みたくなった2012/06/22

3
悪い点、本書の中盤あたりの記述―著者がコペルニクス転回と呼ぶ変化、マルブランシュのキリスト教的プラトニズムの影響等の理解が難しい上に、内容も極めて専門的。そして、もとより難しいヴィーコの文に、細かな人名や文言をはしょらず隅々まで記述する著者の姿勢(いかにもヴィーコ的だが)も相まって、何が言いたいのかさっぱり分からず、目眩がする部分も多い。要するに、もっと適当に書いてくれた方が却って読者の理解も捗る。また、なにより注が著者自身の訳書ではなく原典に拠っているので、参照する時にマジで不便極まりない。2023/01/24

T

3
難しくてよくわからなかった2018/07/23

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