内容説明
小田急線・世田谷代田駅から徒歩五分、築ウン十年。空き室あります!安譜請ですが、人肌のぬくもりと、心地よいつながりがあるアパートです。うまい、深い、面白い。三拍子揃った会心作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
801
柔らかい印象の装丁と、朴訥なタイトルからは想像できなかった、なかなかに生々しい内容の連作短編集でした(*^_^*)人の生と性、がテーマなのかな、ラストも綺麗にまとめて、さすがしをんさん。子どもを持てない光子ちゃんが、はるかちゃんを取り上げられられちゃうシーンには、もらい泣きしてしまった。人生、つまづかされることもたくさんあるけど、その先にはきっと光がある。2016/01/17
扉のこちら側
657
初読。古い木造アパートの住人と、彼らを取り巻く人々の群像劇。廊下ですれ違うだけの人々にも、それぞれの人生があるんだと思わされる。2010/10/29
takaC
653
面白くて、ついつい立ち読みで読み切ってしまった。いや、読み切るつもりでだったけど。こういう連作短編、好き。2010/11/20
hiro
630
読む前は、『風が』の竹青荘のような内階段の古いアパートに住む住人たちが織成すハートフルな小説をイメージしていました。たしかに、木暮荘を中心とした連作短編集ですが、連作のもうひとつのキーワードは「セックス」かと思うほど、「セックス」という言葉が繰り返し出てきます。セックスに取り付かれた大家、浮気男、階下の女子大生の部屋をのぞく男、新生児を友達に預けて帰ってこない母親、ストーカーと続くと、最後はどのように収めるのか心配になりました。しかし、そこはしをんさん、最後はきっちり収めて、ほっこりさせてもらいました。2012/03/08
kishikan
580
小田急線世田谷代田駅そばの古い木造アパート小暮荘(三浦は小田急沿線が強い!)。この住民そして大家、さらにこれらの関係者の物語。いつものことだけど、三浦のストーリーの構成力と文章力は本当に上手いという表現を通り越して、「すごい!」。住人ごとの生きかたっていう点で見てしまえば、本当は何の変哲もない愛の話や生活の話なんだけど、それが物語としてこのように構成されると、魅力いっぱいのアパートになってしまう。でも、犬のジョンが小暮荘の魅力を引き上げているね!2011/02/02