目次
第1論文 自我の発達と歴史的変化―臨床的な覚書(集団アイデンティティと自我アイデンティティ;自我の病理学と歴史的変化;自我の強さと社会の病理)
第2論文 健康なパーソナリティの成長と危機(健康と成長について;基本的信頼対基本的不信;自律対恥と疑惑;自主性対罪の意識;勤勉対劣等感;アイデンティティ対アイデンティティ拡張;成人期の三つの段階;結論)
第3論文 自我アイデンティティの問題(伝記的研究 G・B・S(七十歳)が語るジョージ・バーナード・ショウ(二十歳)
発生論的な研究―同一化とアイデンティティ
病理誌的な研究―アイデンティティ拡散の臨床像
社会的広がり―自我と環境)
著者等紹介
西平直[ニシヒラタダシ]
1957年生まれ。信州大学人文学部、東京都立大学人文科学研究科、東京大学教育学研究科で学んだ後、立教大学文学部助教授、東京大学大学院教育学研究科准教授を経て、京都大学大学院教育学研究科教授(教育人間学)
中島由恵[ナカジマヨシエ]
1979年生まれ。2001年早稲田大学第一文学部卒業。2006年東京大学大学院教育学研究科博士課程中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
19
アイデンティティについて。翻訳された文章自体は決して難解ではないのだけれどぼくなんかが一読した程度ではとてもじゃないけれど理解したつもりにさえなれない。アイデンティティは個で創り上げていくようなものではないということ。自らが属している社会の中で磨き上げられておぼろげに完成していくのだということ。自分とはなんぞやという問いに縛られて社会に出ずにいるということはとてつもなく愚かなんだろうなと思った。その中でしかぼくもあなたもきっと真の意味では完成しないのだから。近いうちに再読してよく学びます。2020/06/20
佐藤一臣
15
とても難解な本でした。訳者の解説がなければ全く理解できないと言ってもいいくらい。もともと、エリクソン自身も40代で書いたらしく、自分の考えをうまく統合できなかったようです。というか彼の研究している発達心理学は、要素が複合的で適切な言葉や構造を明らかにすること自体が難しいのだと思います。言葉で強引に規定すれば、その瞬間から違和感がでるという雲をつかむような感じだったのかも。ただ、一歩ずつ解明して近づいていく感じはわかりました。もっと深く読み込むべきだなあ。2015/10/29
roughfractus02
10
著者は、幼児期と無意識と家族に関係が限定され、幼児期から思春期までの発達に分析を制限するフロイト派精神医学の範囲を拡大し、幼年期から老年期までの8つの発達段階をライフサイクルとして提示した。各段階ではアイデンティティの環境は家族から社会へと拡大し、それに伴って自我の役割も子から親へ、他の世代を意識する世代へと編成し直される。このダイナミックなライフサイクル理論において著者が重視したのは青年期の危機である。この段階にアイデンティティが確立するか混乱するかで、その後の自己と社会の関係が変容することが示される。2021/11/17
なこ
9
学生時代にエリクソンの8つの発達段階を知った時、実に明確に簡潔に人生の過程が書いてあって感嘆しました。ネットでエリクソンを調べたりもしましたが、本人の書いた本を読んでみたいと思い購入。しかし、内容が難しすぎて1割も理解出来ず…。ですが驚いたことは、あの図表は完全なものではない、と本人が強調していたことです。教科書では、その図表が全てかのように淡白に書かれていますが、その背景には著者の様々な考えや思いがあるのだと知り、見方が変わったように思います。次再読する頃には、もう少し内容を理解出来るといいなぁ。2022/07/13
ロラン
7
東日本大震災後に出たエリクソンの新訳本です。なぜ今さら、と思われるだろうことは、訳者らも予期するところでした。難解です。訳もこなれており、言葉づかいが特に難しいわけではないのですが、エリクソンの思考の拡散ぶりがそのまま反映されたような展開に付き合うのは、正直疲れます。流し読む程度では特に新しい発見は得られないと思いますが、それでも読みたいというアツい志を持った奴らに読まれることを、期待しないわけにはいかない一冊です。2018/06/05