著者等紹介
坂口安吾[サカグチアンゴ]
1906‐1955。新潟市の生まれ。本名は炳五。中学を放校されて上京、東洋大でインド哲学、アテネ・フランセでフランス文学を学ぶ。「木枯の酒倉から」「風博士」によって、一部の注目をあびる。戦争中は「日本文化私観」「青春論」などの卓抜なエッセイを書きつづけ、戦後、「白痴」「堕落論」で一挙に世に出た(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
126
再読。安吾は嫌いではないが読む度に腹が立つ。腹の立つのは、女性の描かれ方。女性を見る視線は、女体を見るそれではないか。「風と光と二十の私と」で語る、悪ガキほどいい子だ、子供が嘘をつく時は理由があるなど、男子生徒への見方、接し方は素晴らしい。いい先生だ。なのに、女の体を持ち出した女生徒ヘは…。「白痴」で、空襲で死ぬ人間を焼き鳥に例えたり、非常時のひとの(男に限る)ようすの描写には凄まじさがある。なのに…、すがり付く目をした白痴の女を抱いて満足させてやるのは、リスク回避でそりゃいいだろうよと鼻白む。2019/07/05
ネギっ子gen
59
昭和の御代に二人の盛名を馳せた文士がいた。その一方の者の初期作品に『村のひと騒ぎ』がある。全く、こんな豊かな感激と緑なす生命に溢れた物語を私は知らない。私はこの作品を読みながら、私の心に爽やかな窓が展くのを知った。そして私はその窓を通って、蒼空のような夢のさなかへ彷徨うてゆく私の心を眺めた。生きるということは、そして、大変な心痛の中に生き通すということは、こんな風に楽しいことなのだ! されど、安吾と太宰と、どちらが本当の戯作者であるかということには、頭の悪い私には未だにとんと見当がつかないでいる。ああ。⇒2023/02/19
優希
45
不真面目で真面目なアウトローですね。世の中に反感を持っているような気がしてなりません。2022/02/08
ころこ
41
『勉強記』恐らく、こういう装飾の無い作品が評価できるのではないでしょうか。性欲がテーマであり、坊主には実存的に勉強と修行が密接に絡まっていて、勉強が行き詰っても簡単にそこから降りられないことが傍観者として平易な文章で語られています。実は安吾が切実に直面していた問題だったのではないかと思いました。『堕落論』戦後数か月後に発表され、評価が高いようですが、加藤典洋は「追い風」の中で書かれた本作を太宰の戦中戦後の「追い風」では書かない作と比べると評価できないとしています。確かに時代の空気を現しており、『日本文化私2022/02/12
はちてん
31
学祭時代に少し読みかじって、それきりになっていた作家。いやぁ面白いじゃないですか。「読まず嫌い」でした。 ちくま日本文学『坂口安吾』、これを選んで正解でした。2012/07/08