出版社内容情報
アート・シーンのみならず、福祉・障害者支援・コミュニティの領域でも関心が高まっているアール・ブリュットを、日本の現状にフォーカスして体系的に紹介する。
内容説明
美術・福祉・人類学などの多様な視点から、私たちの社会を鋭く照射する「アール・ブリュット」の全容に迫る。初の体系的論集！！
目次
第１章 アール・ブリュットとの出会い
第２章 アール・ブリュットの歴史と現状―海外からの視点
第３章 アール・ブリュットをとりまく日本のアートシーン
第４章 アール・ブリュットを訪ね歩く―制作に携わって
第５章 アール・ブリュットが生まれる現場に立ち会い続けて―福祉現場からの視点
第６章 アール・ブリュットを社会に発見する
第７章 アール・ブリュットが変える日本の未来
著者等紹介
保坂健二朗［ホサカケンジロウ］
東京国立近代美術館主任研究員。１９７６年生まれ。慶應義塾大学大学院修了（美学美術史学）（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かっぱ
13
創作することと生きることとがイコールな人達がいる。誰かに見てもらうことや、知ってもらうことを目的とせず、ただ黙々と息をするようにして作り続けている。他者との共感を求めているものではないはずなのに、私達はそこに何者からも規制を受けることのない純粋な芸術や芸能の原初の姿を見て、少なからぬ衝撃を受けることになる。2013/10/17
袖崎いたる
7
商業向け作品とかファインアートとか、ジャンル分けの小賢しさを一蹴してくれそうな気配を見せているアール・ブリュット。障害者ってのは希望だと思うんだ。神の子はみな障害者ーーってな具合にね。2018/03/31
Yuko
5
アール・ブリュットをざっとおさらい。障害者アート、アウトサイダーアート、アール・ブリュット、アール・イマキュレ、呼び方も背景もいろいろで、考え方も違う。しかし、アール・ブリュットがアートとか福祉とか一つの分野に留まらず、複数の分野の様々な人々を繋いで社会を変えていく力があるということはよくわかった。「アール・ブリュットに出会ったことで人間と社会の関係を新たな視点で捉え直すという経験」（田端一恵 p206）をもっともっと多くの人に体験してもらえれたらと願う。 2018/09/11
きつね
5
冒頭の監修者による気の抜けたエッセイで不安になったが、本書全体はすぐれた論集。普段ファイン・アートとしての近代文学を研究している身なだけに、もう一度アートの生まれる瞬間・過程・作業に眼を向けたいと思わせてくれる発見に満ちた一冊だった。 1943年、サン・タルバン病院はエリュアール、ツァラらシュルレアリスム・ダダの詩人らを招き、レジスタンス活動のアジトとなった。エリュアールは患者フォレスティエの作品をパリに持ち帰り、ピカソやレーモン・クノー、「アール・ブリュット」という概念を発明する以前のデュビュッフェに見2013/12/08
K
2
純粋な芸術としてのアールブリュット、障害者のケアとしてのアールブリュット、共感を呼びコミニュケーションの契機としてのアールブリュット、それらのバランスと実現が課題か。2019/01/22
