出版社内容情報
テストからフィードバックを経て査定者が治療者になるヒューマニスティックな治療的アセスメントの実践と方法を学ぶ。
治療的アセスメントは,ロールシャッハとMMPIのテストバッテリー,カップルが共同参加するコンセンサス・ロールシャッハを活用し,法則定立的なテスト結果に光輝くクライアントの個性記述的な意味(idiographic meaning)を発見しながら,査定者が治療者となるプロセスでもある。しかし「共感の拡大鏡」を駆使する査定者は,クライアントの根源的な「真実」を探査するのではない。査定者が提示するのは,クライアントの想像を超えたクライアント自身の「物語」である。体系的理論と具体的事例から学ぶ,クライアントへの深い共感に裏打ちされたヒューマニスティックなアセスメントの方法論。
【著者紹介】
●著者略歴
スティーブン・E・フィン
治療的アセスメント・センター/テキサス大学
●訳者略歴
野田昌道
横浜家庭裁判所川崎支部
中村紀子
中村心理療法研究室
内容説明
アセスメントを巡るクライアントと家族=カップルの共同作業のなかに、査定者はクライアントの想像を超えたクライアント自身の「物語」を発見する。査定者‐クライアント‐家族が輪舞するアセスメントが、真に治療的でヒューマニスティックであるための19の断章。体系的理論と具体的事例から学ぶ、クライアントへの深い共感に裏打ちされたアセスメントの方法論。
目次
第1部 治療的アセスメントの歴史と発展(治療的アセスメントとは何か;心理アセスメントの力と可能性を正しく評価する;治療的アセスメント―ハリーは賛同してくれるかな?;治療的アセスメントはいかにしてヒューマニスティックなものになったのか)
第2部 治療的アセスメントの技法(セラピーの途中でクライアントにロールシャッハを実施する;「防衛的な」テストプロトコルについてクライアントにフィードバックする;MMPI‐2とロールシャッハの結果を統合したアセスメント・フィードバック;アセスメント介入セッション―「ソフトな」テストを使って「ハードな」テストの結果をクライアントと共に検討する;優位・劣位・等位―アセスメント・コンサルテーションのコラボレイティブモデル;「ADD」の男性との治療的アセスメント;ロールシャッハの協働継列分析;カップルに対するアセスメント介入としてコンセンサス・ロールシャッハを用いる;「助けたいと思っただけなのに!」―治療的アセスメントの失敗;家族システムへの介入としての協働的な子どものアセスメント;大学院の必修科目として治療的アセスメントを教える)
第3部 理論の発展(あなたはそんな人じゃないと言って―コントロール・マスタリー理論と治療的アセスメント;間主観性理論から見た心理アセスメントの課題と教え;心理アセスメントから学んだ深い思いやりと毅然とした態度;結論―治療的アセスメントの実践)
著者等紹介
フィン,スティーブン・E.[フィン,スティーブンE.] [Finn,Stephen E.]
アメリカ・テキサス州オースティンに治療的アセスメント・センターを創設、認定臨床心理士として臨床実務に携わる。テキサス大学臨床心理学准教授、イタリア・ミラノにあるカトリック大学European Center for Therapeutic Assessment(ECTA)の上級研究者およびトレーニングのディレクターとして活躍。1984年にミネソタ大学で博士号を習得、アメリカ心理学会パーソナリティ部門Society for Personality Assessmentフェロー会員として2002~2004年まで会長を務める
野田昌道[ノダマサミチ]
東京大学教育学部卒業。家庭裁判所調査官、臨床心理士、横浜家庭裁判所川崎支部
中村紀子[ナカムラノリコ]
上智大学大学院博士後期課程満期退学。臨床心理士、中村心理療法研究室、エクスナー・ジャパン・アソシエイツ代表、包括システムによる日本ロールシャッハ学会会長(2003~)、International Society of the Rorschach and Projective Methods副会長(2008~)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。