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岸辺のふたり―Father and Daughter

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  • サイズ A4判/ページ数 31p/高さ 21X27cm
  • 商品コード 9784774306537
  • NDC分類 E
  • Cコード C8797

内容説明

彼とふたりでこぎだした自転車にこどもたちがのっている―。二〇〇一年米国アカデミー賞・短編アニメーション賞を受賞したアニメーションフィルムをもとに制作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やすらぎ🍀

171
たったひとりの女性の人生はどこまでも長く深い。水平線の先を見つめても見えないものは見えない。春がやってきたらあらゆる歓びをもたらしてくれるはずなのに、慌ただしさに訪れる静かなときに悲しみは突然襲ってくる。どこにいるのかわからなくなってしまっても、その想いが消えることは決してないから、心のどこかに隠したまま歩き続けていくしかない。人にはそれぞれの悩みがあって逃げたいときもあるし離れざるを得ない事情もあるけど、ただもう一度だけ会いたい。春の陽射しの中で深い眠りにつく頃、現実と永遠の間で少しずつ愛は霞んでいく。2023/02/04

chimako

108
訳者はモックンの奥様うちだややこさん。原題は『Father and Daughter』父と娘。干潟を走る二台の自転車。父と娘の自転車。父は船に乗って漕ぎ出し帰ってこなかった。何年も何年も待っているうちに娘は年頃になり、かけがえのない人と出会い家族を作る。喜び多い人生に父だけが不在。やがて年をとった娘は岸部に向かう。空き地に横たわった娘を迎えに来たのは懐かしい気配をまとったお父さん………なのだろうか。茶色を基調にした上品な絵本。2014/07/30

ふう

77
「別れからはじまる小さなものがたり…」言葉少なに淡々と語られるできごと。でも、一言一言に長い時間と深い思いがこめられていて、喜びは控えめに、悲しみは静かに胸に伝わってきます。女性は老いてもなお「少女」と呼ばれます。大切な父を思うとき、女性の心はあのときのままなのでしょう。最後に父のいる世界へ旅立ったときも少女の顔でした。黒と茶を中心に描かれた絵の中で、空はどこまでも広がり、光や風はあたたかく少女を包み込んでいて、こんな美しい世界でこんな大切な思いを抱いて生きているのだと、人がとてもいとおしくなります。2022/01/25

ぶんこ

60
小舟を漕いで行った父。 岸辺で見送る少女。 色の少ないセピアの世界。 戻ってこない父を待つ娘の先には、夕日が海に照り映えていました。 娘からお年b頃になってけっこんし、子供と夫と家族で遊んだ岸辺。 子は巣立ち、おばあさんになった少女は、父の気配を感じ。 色の少ない絵が、大きなものを伝えてくるようでした。 2015/10/15

キジネコ

48
死が斯様な風であれば良いのに…と切に思う。では行ってくる、そういって家族に別れが告げられれば…と思う。あるオペラ歌手の父君が「ああ是が死か」と末期の言葉を遺して逝かれたという話を聞いたことが嘗てあった。そして私は経験する。3年前の夏、唐突に心肺の機能を失い、昏冥の迷路を五日彷徨った。ああ是が死か、と私も思った…。果たせる哉。この絵本を私は美しいと感じています。光と影、彼岸に漕ぎ出す小舟、空に浮かぶ雲、自転車と風。遠ざかる母を追って泣き乍ら追い駆けた少年の私が見た、土手の向こうの水景と太陽の光を思い出す。2017/12/26

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