内容説明
「このぎんいろのふうせんはとりわけおきにいりのやつさ」おじいちゃんはいつものようにぼくのかみのなかにゆびをつっこんでもじゃもじゃくしゃくしゃにした。「ぼくだっておきにいりだよ」ぼくはこたえた。でも…。
著者等紹介
オリベロス,ジェシー[オリベロス,ジェシー] [Oliveros,Jessie]
絵本作家、児童文学作家。アメリカ・カンザス州生まれ。ユタ州で大学生活を送り、循環器系の看護師としてのキャリアのあと、作家活動をスタート。現在はテキサス州サンアントニオで夫と4人の子どもたちと暮らす。デビュー作の『とんでいったふうせんは』で2019年ゴールデン・カイト賞(絵本のテキスト部門)、同シュナイダー・ファミリーブック賞受賞
ウルエコッテ,ダナ[ウルエコッテ,ダナ] [Wulfekotte,Dana]
アニメーター、イラストレーター、絵本作家。韓国で生まれ、アメリカ・ニュージャージー州で育った。絵本作家としてのデビュー作は『Rabbit & Possum』。現在は、アメリカ・クイーンズ州に暮らす。『とんでいったふうせんは』で2019年シュナイダー・ファミリーブック賞受賞
落合恵子[オチアイケイコ]
作家、エッセイスト。栃木県生まれ。子どもの本の専門店「クレヨンハウス」主宰。『月刊クーヨン』発行人。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
84
絵本。痴呆症への理解、読み聞かせ7分▽ぼくたちは「おもいで」という風船を持っている。お気に入りの風船を覗き込めば、その時の楽しかった気持ちをありありと感じることができる。おじいちゃんはたくさんの風船を持っている。ぼくは風船の中のお話を聞くのが大好きだった。ぼくとおじいちゃんで共通の思い出の風船もある。けれどもおじいちゃんはだんだんと風船を手放してしまう。大切な風船も飛んでいってしまった。ぼくは悲しい。ふと気づくと、ぼくの風船が増えていた▽優しいお話し。2019年刊、良本2024/03/27
花ママ
60
絵本の研修会で紹介された本。描かれている風船は、その人の心にしまっている 大切な思い出の印。おじいちゃんは長く生きているから、たくさんの風船を持っている。ところがあるとき、風船がおじいちゃんの手から離れ飛んでいってしまった。そのことにおじいちゃんは気づかない。老いていくということは・・小さい子たちにも理解できると思う。訳は落合恵子さん。長年お母さんを介護されていた経験と心情が反映されていると感じました。とても良い絵本です。2024/03/16
papapapapal
59
人はみんな、思い出という名の風船を頭上に飛ばしながら生きている。ほら、ぼくの風船は少し、おじいちゃんのはこーんなに沢山。おじいちゃん自慢の風船のお話を聞くのが大好きなぼく。…ところがある日を境に、おじいちゃんは大切な風船をひとつずつ、手放し始める…。飛んでゆく風船。なんで?と悲しむぼくにママが与えてくれた、優しい気付き。おじいちゃんの風船の本当の行き先を知って、胸がいっぱいになった。2020/04/13
とよぽん
46
皆さんのレビューを見て。図書館新着絵本の棚に。風船は原色になりがちだが、色づかいに落ち着きがあって素敵な絵だった。看護師の経験をもつジェシー・オリベロスさんの文が優しい。この本がデビュー作にして2019年ゴールデン・カイト賞を受賞した。そして、訳者落合恵子さんの「あとがき」にあった告白に衝撃を受け、静かな昼下がりの図書館で涙した。2019/11/19
ヒラP@ehon.gohon
44
思い出がつまった風船という設定が、とてももの悲しく思えました。 思いきり膨らんだ風船は、飛んでいくもの、萎むもの。 思い出はいつか消えていく。 おじいさんの持っていて風船が、次第に少なくなっていく様子には、一生のはかなささえ感じました。 でも、この絵本のまとめは素晴らしいと思います。 次第に少年の風船が増えていき、その中におじいさんとの思い出の風船と、おじいさんの思い出そのものの風船が、含まれているのですから。2019/11/27