芸術の受け手、そして送り手の思惑が織りなす伝説。美術史研究への自問をふくめ、多岐にわたる問題圏に接続した特集。

... 家伝説」のいくつかの類型を、見出すことができると思われるのである。* 6 その第一は「神のごとき芸術家」( divino artista )であろう。西洋では古典古代、単なる「技術者」の系譜に位置づけられていた「芸術家」は、ルネサンス以降、その「内なる声 ...

... 芸術家は世事に無頓着であるという逸話(池大雅の奇行など)は含まれているものの、性的なイメージを喚起するものは少ない。このような神話は「芸術家伝説」では扱われていない。一九三七年に出された本書は現代の芸術家にまつわる神話の分析よりも、古代 ...

... 芸術』七九、仏教芸術学会、一九七一年四月佐々木丞平「落款印章照合分析方法による美術史研究発展の可能性」「美術史』一三〇、美術史学会、一九九一年三月注 5 三井家は全十一家 ... 伝説の定形パターンというべきものかもしれない。様々な逸話の集積として ...

... 芸術家本人が何をしたかということではなく、むしろ、同時代者たちそして後代の人たちが芸術家をどう見たか」という基本 ... 伝説」とも呼ぶべき史実を離れた様々なエピソードが創作されてきたことに興味を覚え、それらの「近世兼好伝」を注意深く読んでみた。

... 〇代半ばまで挿絵画家として生きてきたこの東欧出身の異邦人を、パリの華やかな応用芸術の世界に引き出し、アール・ヌーヴォーを代表する存在にした。《ジスモンダ》制作の経緯、というより経緯に就いての物語は、芸術家伝説の典型といってよい。

... 芸術の鮮やかな逆転勝利』を語ったとしても、それは無意識の所為にすぎず、また少くともそう考える方が妥当であろう。」注 5 「芸術家 ... 伝説』(一九八九・六ぺりかん社)には、「ルネサンス以降に大量に書かれるようになる、画家、彫刻家の伝記の二つの重要 ...

... 芸術家養成の教育機関が整備されていない部分でそれが生じやすいという現象は興味深いものである。エルンスト・クリス/オクルッ『芸術家伝説』大西広/越川倫明/児島薫/村上博哉訳(ぺりかん社、一九八九年)参照。この本には大西氏による「日本・中国の芸術家 ...

... 芸術家と、伝説にえがかれる芸術家のイメージの間には、両者を結ぶ二つの回路があるようだ。伝記作者たちは... (中略) ...実生活の中の典型的な出来事を加工して、逸話の定型をつくり出す。ところが、芸術家伝の中で形成されたその芸術家像の「定型」が ...