出版社内容情報
日本人とは? 日本的な技術と文化とは? 考古学の情報が現代に伝えるメッセージとは? “紀元前後のボートピープル”“キモノと装身具”“花を飾る文化”“地震を発掘する”,そして“戦争の起源”“考古学者の戦争”等々,興味深いエピソードから現代の争点となる問題まで,考古学研究者が縦横に論じあう現代批評.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
25
考古学の1997年における現状を2人の考古学者が対談する。ハンコかサインか、紙か木簡か、色か装飾物か、箸と茶碗を自ら所有するか否かなどなど。化学物質の解析が進んでいて、土に付着している脂肪酸から馬か人か、炭素測定からいつ頃のものか、花粉からどのような植物かということがわかってきており、発掘調査の際にも、地震の噴砂や断層など地殻変動のサインが見つかり、薪の使用状況から当時の植生状況がわかるなど他学問との交流も盛んになってきている。問題点は、複雑化と分業化により全体把握が困難になっているそうである。2017/02/06
ポテンヒット
9
二人の考古学者によるエッセイ。ハンコやアクセサリーの変遷、木々の植生、地震など考古学から色んな事が分かるものだなと面白く読んだ。それぞれに歴史があって今に繋がっているのだと感じた。稲作も、政治や経済の面から見るとどんどん先細りになるが、長い歴史の中で日本の文化を作り上げてきたという面も考慮すべきという話はなるほどと思った。2022/01/28
こだま
8
エッセイ風なので読みやすいです。2015/11/06
takao
4
小冊子ながら、よくまとまっているし、研究者の肉声が聞こえていい。 2019/12/18
茶幸才斎
3
陽気な学者のおっちゃん2人が楽しげに雑談している前書きと後書きの狭間で、考古学上のもろもろのトピックスを取り上げ解説している本。ハンコの変遷とか、大工道具と手先の使い方とか、照葉樹林の復活とか、花を飾る文化とか、戦争の起源とか、様々な角度から祖先たちの暮らしの一端を垣間見るような感覚が持てて面白い一方、(今、こういう時代だからか、)それを現代人の生活と対比することで浮かぶ感慨が幾ばくかの寂しさを伴うものであることに、軽く苦笑いしてしまう。後世の考古学者のために、庭に何か埋めておこうと思う。たまごっちとか。2012/05/25