出版社内容情報
欧米の都市と東京を比較し,その特質を日本人の生活習慣や美学的な観点から描く.ニューヨークやパリが都市全体を考えて計画されているのに対し,東京は部分を積みかさねた都市である.一見混沌としているその中に隠れた秩序があることに着目しつつ,同時に東京の街並みに欠けている美の必要性を説き,都市計画の欠点を明らかにしてゆく.
内容説明
欧米の都市と東京を比較し、その特質を日本人の生活習慣や美学的な観点から描く。ニューヨークやパリが都市全体を考えて計画されているのに対し、東京は部分を積みかさねた都市である。一見混沌としているその中に隠れた秩序があることに着目しつつ、同時に東京の街並みに欠けている美の必要性を説き、都市計画の欠点を明らかにしてゆく。
目次
第1章 日本人の空間意識(日本人はなぜ靴をぬぐのか;日本だけの都市風景;部分発想と全体発想;平等主義かアイデンティティーか)
第2章 東京の光と影(街の観察;東京の土地問題と交通渋滞;パリ、ニューヨーク、ワシントン、ラスベガスから東京を見る)
第3章 東京の処方箋(公共空間の象徴性;住まいの充実;都市のアメニティー―逃避的・中間的・積極的;二十一世紀に向かっての東京)
終章 ポスト・モダン都市―東京(二十一世紀に向けて;変わりゆく東京)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
2
ふむ2022/12/21
mkk
2
全体発想のヨーロッパ都市と、部分発想の日本都市の対比が面白かった。あとがきでエドワード・ホールの名前が出てきて最後に驚き。2017/01/26
ヅメ
2
初めて東京に来た僕も、経済活動の赴くままに乱立している東京の商業施設の数々にすぐに疑問を持った一人だ。市民が真に心の拠り所とすることができる都市空間とはいったいどのようなものか。 筆者はヨーロッパの都市と比較をしながら、東京がいかに「遅れているか」についての持論を展開していく。ちょっと主観的な考察が多いが、こういう本が岩波新書で出てくるくらいだから、やっぱり東京は次へのステップを考えなければいけなかった、そういう時代だったのだろうか。この本が出てはや二十年、東京はこれまでどのように変化してきたのだろう。。2015/03/15
geoff
1
部分的に説得力のある議論が見られるが、全体的には手垢のついたような内容であり、今日でも読む価値があるのかはわからない。東京を「フラクタルな都市」とする表現には頷けるし、有効な主張だと思われる。しかし、アジアに対する視点を全く欠いたまま、日本と西欧を世界の二極のように対比させる構図はいかにも20世紀的だ。記述は全体的にはフワッとしていて、具体性がない。すでに一線を退いた年寄りが夢を語っているという感じで、78頁からの新聞に対する批判などに至っては妄言の類である。衰退期日本の現状に即した「東京論」を待望する。2022/03/01
愛奈 穂佳(あいだ ほのか)
1
【ココロの琴線に触れたコトバ】良い悪いは別として、「床」指向の文化は、わが国独特のものであり、それはおそらく家に帰って靴をぬぐという習慣に起因しているといえるだろう。2015/11/26