出版社内容情報
黒船来航,幕末の動乱そして「御一新」.庶民はこの変革期をどう捉え,どう生きていったのか.近江商人・小杉元蔵,江戸町名主・斎藤月岑,生麦村名主・関口東右衛門,京都近在の頭百姓・若山要助,宮大工・藤井此蔵,地下医・古谷道庵,等々,庶民が書き残した膨大な日記群を縦横に駆使しつつ描き出される異色の幕末維新史.
内容説明
黒船来航、幕末の動乱そして「御一新」。庶民はこの変革期をどう捉え、どう生きていったのか。近江商人・小杉元蔵、江戸町名主・斎藤月岑、生麦村名主・関口東右衛門、京都近在の頭百姓・若山要助、宮大工・藤井此蔵、地下医・古谷道庵、等々、庶民が書き残した膨大な日記群を縦横に駆使しつつ描き出される異色の幕末維新史。
目次
序章 庶民日記に歴史を読む
第1章 異人、江戸に来る
第2章 張札とさらし首
第3章 京が焼ける
第4章 戦と世直し
第5章 ええじゃないか
第6章 戊辰の戦と商い
終章 庶民にとっての御一新
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃん吉
5
幕末維新の頃に書かれた庶民の日記を用いて、庶民が、その時代をどう見て、どう生きたかという観点から、激動の時代を叙述。用いられた主な日記の数は20弱と非常に多く、日記を書いた人の居住地は江戸、武蔵、京都、近江、水戸、長門等々、その属性は、名主、商人、宮大工、農家、神官、医者等々と幅広い。本文は、物価の高騰、コレラの流行、戊辰戦争といった特定のテーマを設けて、色々な人の日記の引用、訳文が続き、解説や注釈の類はほとんどない構成となっていて、分かりにくいところもありますが、面白い試みだとも思われました。 2021/05/24
印度 洋一郎
2
庶民の日記から見た、幕末から維新。普通の歴史書には出てこないようなエピソードばかりでイメージも随分変わる。禁門の変で朝敵になった長州潘の江戸屋敷が、破壊されて風呂屋の焚きものにされていた。武家に洋装が流行り、夫婦で洋服を着て、江戸市中を馬で乗り回すモダンな武士が、庶民の顰蹙を買っていた。横浜が開港するや、商人が英語の勉強を始めた。こういうの時代劇でやってくれ!2010/02/06
Masa
1
政治が変わろうと民衆が期待するのは、身辺の安寧、変わらぬ日常、そして娯楽。不幸や不安が世を覆おうと毎日の生活はやり繰りせねばならぬし、行く末など案じてはいられない。昔も今も変わらない世界である。廃仏毀釈の世になって、精神的支柱を失いながらも新時代に生きてゆこうする小杉伝蔵は島崎藤村「夜明け前」の青山半蔵を思わせる。2020/12/28