岩波新書<br> ゲランドの塩物語―未来の生態系のために

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岩波新書
ゲランドの塩物語―未来の生態系のために

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  • サイズ 新書判/ページ数 200,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004307303
  • NDC分類 669.023
  • Cコード C0236

出版社内容情報

フランス北西部の町,ゲランド.伝統的手法を守って採られる天然塩は料理界で珍重されている.その背景にある,開発の波に抗し,地域を再興させた人々の起伏に満ちた営みは,食品の安全性,環境問題への重要な示唆を与える.

内容説明

フランス北西部の町、ゲランド。伝統的手法を守って採られる天然塩は料理界で珍重されているが、乱開発の波に抗し、地域と産業を再興させた人々の起伏に満ちた営みが、その背景にある。生命多様性の宝庫である塩田からのメッセージは、食の安全性への重要な示唆と、地球規模の環境問題に地域の視点がつながる教訓に満ちている。

目次

1 揺れるヨーロッパ―食とエコロジー(「狂牛病」騒動の波紋;農薬汚染から遺伝子組み換え食品まで ほか)
2 開発の波に抗して―ブルターニュ地方とゲランド(歴史的背景;塩田の周辺の町と村 ほか)
3 よみがえる伝統と地域―新しい塩職人、共同体(塩職人の暮らし;「68年世代」の運動 ほか)
4 ゲランドは発信する―地域から世界へ(技術援助;塩田博物館の再生 ほか)

著者等紹介

コリン・コバヤシ[コリンコバヤシ]
1949年東京に生まれる。1969年武蔵野美術短期大学中退、1970年渡仏、以後パリに定住、1970‐74年パリ国立高等美術学校に学び、美術家として活動。主なものとして、1980年パリ・ビエンナーレのほか、日本でも、1990年ヒルサイド・ギャラリー個展、1992年ギャラリー上田個展、1995年ギャラリー・αM個展がある。また、1987年以降、制作の傍ら、フリージャーナリストとして美術批評、社会批評を雑誌・新聞に寄稿。反核運動にかかわり、1990年以降、パリで市民団体「ふくすうの文化」、98年以降「仏日NGO交流協会エコー」を主宰
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Uzundk

7
読む前に著者が芸術家でフリージャーナリストとして社会批判を寄稿していると言うあたりを考慮する必要がある。はい。いろいろすっ飛ばしてゲランド塩の生産体制について。天日塩なので塩田の整備が欠かせない。海水を潮の満ち引きを利用して塩田の中を次々と移していき濃度を高めて析出した結晶を収穫する。メンテをしないと田がさびるし、海の生き物が穴を開けるし、床が乱れると収穫時に土が混じる。メインの生産はやはり夏だが通年メンテが必要でゲランドの塩生産者集団を結成して経済基盤の確立と生産文化の維持している。ふむ。2016/08/13

Yukiko

7
ブルターニュは貧しく、そのなかでもゲランドの塩職人たちの生活は厳しかった。それが、1970年代から塩職人の団体を結成し、会社を立ち上げ、自立的な塩の生産販売を始め、ついにゲランドの塩を世界に通用するブランドに育て上げた。この背景には、なにがあったのだろうか。著者は、立役者となった人物へのインタビューを交え、歴史を語ってくれる。ただ、やはりよくわからない。中世の昔からあまり変わらない塩の製法とともに、ゲランドの塩職人たちのコミュニティーも生き残り、これはとても幸せなことだったと思う。2015/05/27

うえ

5
「塩田の北部に中世の城塞都市として有名なゲランド市がある…ゲランドの中世は、塩による商売と貿易でたいへん栄えた…当時、ここは領主に治められた港町として、ポルトガルからバルチック半島までヨーロッパ全域に塩の輸出をしていた…十四世紀末には年間四千トンの出荷をしていた…二六九の艦隊、計三八四の船を所有していた。十五世紀初めには三千人の人口を数える。ここは酒税や塩税が免除されて、城塞都市を築く余裕があった。実際、この町を訪れると、今はほとんど観光都市だが、城塞の内側に…城塞都市の面影が、城門や堀に強く残る。」2022/11/06

rbyawa

2
フランス北部の海岸部、英仏海峡沿いにケルト人の遺風が残る地域があってこれがブルターニュ。ただ、この地域が昔ながらの素朴な手法の塩田を守ろうとしたのは別に民族の誇りとはなんの関係もないし(長々と工業化に逆らってきた段階では関係あるかなw)、それを守ろうとしたのもこの地域の人たちだけでもない。近くにレジャー施設が迫ってくるのが許せなかった女性が最終的に国を動かし。今は曲がりなりに都会から息子が家を継ぎに戻ってきたり、外から人が学びにも来る。塩田があることは多分周囲の環境にもいいのだ、という大雑把にそんな話。2010/03/08

そうげん(sougen)

1
ふだん自分たちが口にする農産物の由来・来歴を辿ることで多くの人々の営みに対して思いをいたすことができるんだということを教えてもらいました。わたしの住む地域ではまず稲作のこと。このゲランドの事案で可能だったことと、うちの地域で不可能だったこと、その対比によって現状のわが国日本が置かれている立場も見えてくるように思えました。読むことができて良かった。2022/04/16

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