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岩波新書
明治維新と西洋文明―岩倉使節団は何を見たか

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  • サイズ 新書判/ページ数 213p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004308621
  • NDC分類 210.61
  • Cコード C0221

出版社内容情報

男女の風俗,議会,工場,博物館―明治初年の「岩倉使節団」は,西洋文明との衝撃的な出会いを体験した.その報告書『米欧回覧実記』を丹念に読み解き,近代日本がそこから何を受け止め,何を排除していったのかを考える.

内容説明

男女の風俗、議会、工場、公園に博物館―明治初年、近代化の課題を背負って二年近い欧米視察の旅を続けた「岩倉使節団」にとって、西洋文明との出合いは衝撃の連続だった。その公的な報告書である『米欧回覧実記』を丹念に読み解き、「大国」への道を選んだ近代日本がその経験から何を受け止め、何を排除していったのかを浮き彫りにする。アンコール復刊。

目次

1 明治維新と『米欧回覧実記』
2 西洋文明との出合い
3 政治と教育
4 資本主義のシステム
5 社会への視点
6 科学と文化
7 『米欧回覧実記』と『文明論之概略』―蒲安臣使節団ならびに中江兆民とも関連して

著者等紹介

田中彰[タナカアキラ]
1928‐2011年。1953年東京教育大学文学部卒業。専攻は日本近代史。著書『岩倉使節団の歴史的研究』『小国主義―日本の近代を読みなおす』(岩波書店)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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skunk_c

26
久米邦武がまとめた『米欧回覧実記』は、諸般の事情から省みられることの少ないものであったという。著者はこれを紐解きながら、岩倉遣外使節団が何を学びとってきたかを解明しようとする。特に『実記』ではスイスなど小国に重きが置かれ、ここから小国主義の系譜を読み取る。産業や文化に比べ、軍事に対する著述の少ない『実記』から、明治初頭の日本の首脳陣は、決して「強兵」を目指していなかったとみるのだ。またアジアへの目線についても、福沢諭吉との比較を通じて論じているが、様々な示唆を感じた。中江兆民の位置付けなども興味深かった。2018/06/04

那由田 忠

16
欧米の実態をしっかり研究した上で進路を定めようとした、日本の政府の真剣さ、分析の鋭さに驚かされる。『米欧回覧実記』を見直すべきだという著者の呼びかけに賛同する。しかし、日本が小国への選択肢をもっていたという著者の展望は理解できない。人口から考えても日本が小国としてまとまる道はそもそもなかった、というべきであり、その点で大いなる勘違いを抜け出ていないのが残念である。2016/12/18

belier

3
岩倉使節団の報告書『米欧回覧実記』を通して、幕末から生きて来た日本人が西洋文明をどう見たかを紹介する。著者は編纂者の久米邦武を高く評価し、彼の視点を通して語っている。久米は漢学者であり、日本と西洋文明との比較論は興味深い。ただ影響力は当時なかったという。日本は西洋へ追いつこうと大国主義の道をとったわけだが、久米はそれとは違った見方を示していて、違う近代化もあったのではないかと著者は語る。それでも贔屓の引き倒しにならず久米の視野の限界も書いており、公平な態度に好感持てた。2021/08/02

太郎

3
久米邦武の『米欧回覧実記』を分かりやすく読み解いた本。明治政府はドイツ(大国)をモデルとして国を運営していったが、岩倉使節団の視察の段階では、小国にもかなりの比重を置いていることや、「富国」には強い関心を持っていたが、「強兵」には力点を置いていなかったというのは興味深い。また、小国主義は、明治政府の指針にはならなかったが、後に民権運動、大正デモクラシー、そして戦後の日本国憲法へと結実していったというのは面白い。これは、岩倉使節団の新たな一面をいくつも教えてくれる本だった。2011/09/23

本命@ふまにたす

1
岩倉使節団の報告書『米欧回覧実記』を読み解く一冊。様々な観点から、使節団がどのように西洋文明を捉えようとしていたのかが論じられる。明治政府の政策との関連も言及されている。2022/10/28

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