出版社内容情報
9．11事件以来，注目を集める「イスラム原理主義」の運動．長年アラブ地域を調査してきた著者が，この現象に「イスラーム主義」という概念をあてはめ，その起源を歴史的にたどり現代のイスラム世界を理解する鍵の一つを提示．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
to boy
22
イスラム教とか中東の歴史とかほんとに上辺だけの知識しかないので読んでみました。（娘からの借用）。近代イスラムの世界を具体例を挙げながら述べていますが、とにかく今までの知識が少ないので理解し難かった。近代化という概念が西欧の考えがすべてではなく中東においては中東での近代化の道があるという考えに納得。西欧の傲慢さとそれに慣れ親しんだ我々の頭を見直すきっかけになります。それにしても一神教って大変だなぁ。2016/05/03
俊
18
イスラーム主義とは、近代以降のイスラーム的社会変革を求める政治的イデオロギーや運動である。本書はアラビア半島、スーダン、エジプトで起こったイスラーム改革運動を解説しながら、「イスラーム主義」を考察している。イスラーム改革運動の基本的な知識と、現在の中東問題の遠因を知れたのは良かった。ただ過激思想の問題に対する提言には、具体的な処方箋を期待していただけに、少し物足りなさを感じた。2015/02/20
Yasomi Mori
5
ムスリム同胞団に代表される「イスラーム主義」。イスラームという「伝統」を積極的に持ち出すモダニストの登場、という一見矛盾する現象は、近代化＝世俗化、政教分離＝進歩という西洋近代の前提を疑うことで文脈がみえてくる。世俗化が進行する過程において、宗教を公的領域に持ち出そうとする試みは、あえてイスラームを「政治化する」という手段を採用せざるをえなかった。／80年代以降の急進的イスラーム主義者の出現は、高等教育の大衆化に伴った、「正統的」イスラーム教育を受けていないもの達による聖典の独自解釈による現象と分析。2016/08/26
本命@ふまにたす
2
「イスラーム主義」について、その歴史的経緯と特徴について紹介する。現状分析のみに偏ることなく、歴史的な背景の説明に重点を置いている印象を受けた。2021/07/13
Z
2
最近出た本ではないため、isについては触れられてないが、近代以降のイスラムのなかの、反西洋を掲げ闘争した人、組織についてまとめられているて面白かった。結局いわゆる西洋が植民地化の過程が尾をひいてという話になるが、問題点はわかっていても解決が難しいというこの手の政治問題のやりきれなさ。世俗化により、書物が正規教育なしによめ、新興宗教みたいに独自解釈がはびこることも原因とベネディクトアンダーソンと現代世界接続できたのが個人的にためになった。2017/03/04
