出版社内容情報
★本書は『書評空間 KINOKUNIYA BOOKLOG』にエントリーされています。
内容説明
日常に生きる人びとの悲喜劇をやさしく見守り、穏やかで端正な作品を残したチェーホフ。そんな慎ましやかで愛すべき作家の相貌の裏には、「無意味」の深淵をのぞいた「非情」な世界が秘められていた。この世界からの脱出はいかにして可能か。没後百年の今、現代の抱える課題を先取りした作家の深層を、作品と生涯から具体的に読み解く。
目次
第1章 作家チェーホフの誕生(チェーホフとその時代;ひそかな父親殺し;届かない手紙;カメレオンとペンネーム)
第2章 サハリンへの旅(感情からの逃避;石と化したこころ;「退屈」と意味;仮死と再生の旅―サハリン)
第3章 コミュニケーションへの渇き(ナンセンスな世界;主人公の消失―『イワーノフ』から『かもめ』へ;小説の文体、戯曲の構造;呼びかけと応答)
著者等紹介
浦雅春[ウラマサハル]
1948年大阪府生まれ。1971年神戸市外国語大学外国語学部卒業。1983年早稲田大学大学院文学研究科博士課程中退。東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻はロシア文学、表象文化論
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