出版社内容情報
谷 徹[タニ トオル]
著・文・その他
内容説明
現代哲学の大きな潮流をなす現象学とはそもそも何なのか。空虚になった学問の危機を克服し、人間の直接経験から出発して世界に至る思想の全貌を解説。
目次
あなたと私が現象学だ
現象学の誕生
現象学の学問論
直接経験とは何か
世界の発生と現象学
時間と空間の原構造
他者の現象学
現象学的形而上学と事実学的諸問題
著者等紹介
谷徹[タニトオル]
1954年愛知県生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、城西国際大学人文学部助教授。哲学・倫理学専攻(主に現象学と現代哲学)。博士(文学)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
47
現象学の歴史的な役割を、よくわかっていません。 観察対象の系の中の存在である人間には、見えないものがあるはずです。 観測できないものを見ようとしているのか、見えるものだけで解決しようとしているのか。 この本に書いてあるものが、現象学だと、何が嬉しいでしょうか。 レビューにそれを書いてくださる方がおみえでしたら、よろしくお願いします。 哲学、現象学というものの入門にはよいと思います。 欲しいのは入口ではなく、出口ではないでしょうか。 系の中での観測は、「出口無し」なのでしょうか。2015/07/19
さえきかずひこ
17
ハイデガーを通じ現象学に10年くらい関心を持ち続けていた。良い入門書が見つからずそれを放置していたが、意欲的かつ理に適った書籍をTwitterで教えてもらえた。それが本書である。初心者が読んでも、フッサール哲学の壮大さと相当な込み入り具合がよく分かる。基礎的な術語についても丁寧に噛み砕いて解説しているし、第2章4節では、カントの超越概念とフッサールのそれがどう異なるかということが述べられていて、カント哲学を知る読者には大いにフッサール理解に与すると思われる。第7章はフロイト理論を掴んだ上で読むべきだろう。2019/06/08
ゆう
16
これは哲学の読み方としては妥当でない読み方だと思うのですが、フッサール、哲学も生き方もぶきっちょすぎて、途中から愛おしくなってきてしまった。2023/11/18
koke
13
フッサールが当時の学問への危機感から現象学を始めたこと、アプリオリなものを探る上でのカントやフレーゲとの距離、ガブリエルを思わせる世界の存在論、晩年には意識の働き以前に構成されるものについても考察を進めていたこと。色々学んだが、個人的にはあまり共感するポイントがなく古さを感じた。2022/11/16
みみ
13
直接経験から諸学問の基礎づけるという目標から始まったフッサールの歩みが分かります。特に、主観的でもあり客観的でもあるという二重の性質をもつ身体がどう構成されてくるか解説した箇所や、諸対象の全体という意味での「世界」を扱う節が面白かった。2021/01/27