内容説明
本書は、巡礼と密接に関わる民衆信仰、シンクレティズム、「観光」、都市開発、慈善をキーワードに、中近世を中心にスペインの巡礼を全体的に読み解いたものである。
目次
第1章 海を渡る巡礼者たち―オリエントの聖地へ
第2章 聖地と聖性―地の果ての聖地
第3章 巡礼行の実際―「聖なる空間」をゆく人々
第4章 巡礼と「観光」―巡礼者と観光者と
第5章 巡礼と都市の形成―巡礼の盛行とともに発展した都市
第6章 巡礼と慈善―「宗教的救貧」から「世欲的救貧」へ/総合施療院の誕生
著者等紹介
関哲行[セキテツユキ]
1950年茨城県生まれ。上智大学大学院文学研究科博士課程修了。流通経済大学社会学部教授。専攻は中近世スペイン史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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富士さん
4
アニメの聖地巡礼を理解する枠組みを歴史的な聖地巡礼から持ってこれないかと本棚から引っ張り出して再読。アニメの聖地巡りに聖地巡礼という言葉を使うのを避ける向きもありますが、別世界と自分の世界をまたいで存在しているものを次元を超えるための執り成しとして使うこと、聖的な文脈をただの物見遊山を使命を帯びた冒険のようなスリリングなエンターテイメントに仕立て上げるために使うこと、これらを見るとアニメの聖地巡礼は聖地巡礼なのだと言っていいように思うのです。観光学入門として読みましたが、社会史としても興味深い一冊です。2016/07/19
rbyawa
4
ぶっちゃけてこの本でなにが語られていたかというと、要するにとどのつまり「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」は前後の事情や歴史的な流れから見ても捏造された聖地だよね、ということであり、しかしあれだ、別にそんなことはどうでもいいというか、ひょっとしたらそれを薄っすらと皆がわかった上で誰もそのことに意を唱えたりはしない、というちょっと独特の位置を占める「聖地」で、この聖地の存在をもってスペインのイベリア半島はヨーロッパとの交流を維持したそうな。でもやっぱり偽物だとは思う、でも別に、ここがあって良いとも思う。2010/04/03
アシ原
3
捏造された土地だからこそ犯されず利用されない聖地となったのかなと思いました。そこに向かう人自身が意義をつけるというか。長く続いた歴史が器となって空白の多さが人を受け入れる。非キリスト教徒の勝手な感想ですが。2018/11/16
takao
2
ふむ2022/09/12
波 環
2
巡礼と街づくり(道作り)、宗教と観光など、普遍的なテーマ 最後に四国遍路との共通点を少しだけ論じているが、 四国遍路の研究者側からも、キリスト教巡礼の立場からもそれぞれもう少し勉強してほしい あと5年ぐらいしあらそれぞれに対して等間隔に論じられるような人が出てきてほしい その折には、身体的または、宗教的体験を少しは経たものであってほしい2019/01/31