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中公新書
永遠のドストエフスキー―病いという才能

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  • サイズ 新書判/ページ数 287p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121017574
  • NDC分類 980.28
  • Cコード C1297

出版社内容情報

ドストエフスキーの文学は現代にこそ読む者に訴える。それは誰もが抱えている心の病いをいきいきと描いているからだ。第一人者による決定版

内容説明

十九世紀ロシアの社会と文化について何も知らない私たちに、ドストエフスキーの文学はなぜかくも強烈に響くのか。それは現代人の誰もが抱えている心の病いを描いているからではないだろうか―。本書はドストエフスキーの書簡や社会評論と文学作品とを照らし合わせながら、偉大ではあるが、壮大深遠でも観念的でもない一人の人間としてのドストエフスキー像に迫り、読む者に時代を超えて訴える作品の魅力を描く。

目次

第1章 心の病いを尊重する作家(病気は考える価値がある;病気の尊重 ほか)
第2章 治らない心配性―妻アンナへの手紙(アンナ・グリゴーリエヴナとの結婚;「あけっぴろげ」の手紙 ほか)
第3章 犠牲者のいる光景―加虐と被虐を通しての愛(光景の強迫;加虐者が被虐者に依存する関係 ほか)
第4章 なりすます才能と被害妄想―『貧しい人たち』と『分身』の統合失調症(てんかんと統合失調症;手紙のなかの仮想現実 ほか)
第5章 博愛主義者にして反ユダヤ主義者―社会問題の視覚的解決(反ユダヤ主義者ドストエフスキーに対する批判;小説のなかのユダヤ人 ほか)

著者等紹介

中村健之介[ナカムラケンノスケ]
1939(昭和14)年、新潟県三条市に生まれる。国際基督教大学、東京大学大学院(比較文学比較文化)に学ぶ。北海道大学、東京大学教授を経て、現在、大妻女子大学比較文化学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

i-miya

66
2010.12.17 (副題:病という才能) (裏表紙) 現代人のだれもが抱えているこころの病を描く。偉大ではあるが、壮大深遠でもなく、観念的でもない、一人の人間としてのドストエフスキー像に迫る。(中村健之介) 1939、新潟県三条市に生まれる。国際基督教大学、東京大学大学院比較文学比較文化に学ぶ。大妻女子大学比較文学部教授。『ドストエフスキー人物事典』1990、朝日選書。(あとがきにかえて) 2010/12/18

KAZOO

60
ドストエフスキーの作品や様々な資料からこの人物を紐解いていきます。かなりな力作であると感じますが、これだけの人物を述べるのには若干物足りない気がしました。比較するのは申し訳ない気がするのですが、アンリ・トロワイヤの「ドストエフスキー伝」を読んだときに比べると印象が薄い気がします。各章にある先生の本音が出ている囲み記事が印象に残りました。2015/05/27

踊る猫

25
ドストエフスキーというと癲癇だが、それ以外にも心配性や被害妄想、統合失調症といった現代でも深刻である病を抱え込んだ作家であったことが本書では炙り出される。さほどドストエフスキーに慣れていない私でも楽しく読めたし、分析も平たくて面白い。ドストエフスキーの人間臭さに共感を誘われてしまい、未読の長編に挑もうかと思わされた。その意味では今こそドストエフスキーは読まれるべきなのかもしれない。私自身色々な現代病を抱えている身なので、同時代人としてドストエフスキーが身近に感じられた。この著者の本をもっと読んでみたくなる2018/01/26

i-miya

10
スヴィドリガイロフの語る蜘蛛の巣のかかった風呂場『罪と罰』、笑う老婆『罪と罰』。スヴィドリガイロフによるラファエロのシストのマドンナの解釈。苦痛が視覚イメージによって生じる。百姓マレーの姿。 ◎ドストの現代史観。「ヨーロッパのキリスト教としての社会主義」が色褪(あ)せ、「生存競争」というエゴイズム原理が根をはった。ブルジョアは「貧しい人々」を兄弟と思わないようになる。その犠牲の上に自分たちの安楽がある、と気づくことを恥と思わなくなった。2004/08/01

ohashi

5
本書のキーワードの一つ「妄想」。ドストエフスキーは妄想を源に作品をかいた。また、妄想によって神に会った。と、いうような内容がある。脳の中に描いたイッちゃってるイメージ妄想。イメージは大切。イメージすることも継続的な反復練習により強化できるのか。腹筋運動を継続しているとお腹が6つに割れてくるように。2014/01/30

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