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NHKブックス
中世人の経済感覚―「お買い物」からさぐる

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  • サイズ B6判/ページ数 278p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140019870
  • NDC分類 210.4
  • Cコード C1321

内容説明

市場での日常の買い物から朝廷の官位まで、中世を生きた人々の購買行動にまつわる諸相を読み解く。人々の価値観や秩序意識、信仰心の所在を明らかにし、中世という不安に満ちた茫漠たる世界の実体を浮き彫りにする。気鋭の中世史家が、博打をうちたかった侍、辞令を偽造した小役人、芋頭好きの僧都、作善好きの無名の地方土豪、大福長者と兼好法師たちの経済感覚を通して、中世社会の実像に挑む。

目次

第1章 市場へむかう道
第2章 中世人の経済感覚とは
第3章 中世人の秩序意識
第4章 官位をどう買うか
第5章 武士たちの秩序意識
第6章 御家人成功の手続き
第7章 寺社と金融
第8章 官位の値うち
第9章 大福長者と兼好法師
第10章 ある地方土豪の勧進と作善
第11章 説経師の肖像
第12章 浄土の演出

著者等紹介

本郷恵子[ホンゴウケイコ]
1960年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、東京大学史料編纂所助教授。博士(文学)。専門は日本中世史
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bapaksejahtera

15
我が国中世を啓蒙的に著す著者が勃興し始めた経済活動を柔らかく述べる。不定期開催の初期の市と、旅行インフラ等それに参加する事の難しさ、仲立としての貨幣流通の未熟等の基本的な記述。「買い物」の一つとして官位を採り上げ、貴族や寺社の生計維持の方便から始まり、力をつけた武士によって終には報奨の一つとして乱発される迄を説く。最後は余剰を吸上げ回転せしめる機能としての宗教、市場の宗教性を述べ座りよく終る。いつも乍らの好著である。金融経済の担い手としての借上・土倉の記述から我が国で通貨が発達しなかった理由に関心が広がる2023/02/17

邑尾端子

5
中世人の経済感覚を「お買い物」からさぐる、という趣旨のタイトルであるが、本書で取り上げられている「お買い物」の主な「商品」は、現代人がその言葉から想像する「商品」とは多分に異なる。本書で語られる「商品」とは、ズバリ「官位」である。地位や名誉をお金で買うこと自体は現代社会においても少なからず残っていることとはいえ、中世人の買官・売官にかける情熱は現代人のそれとは異なるものである。売り手側の貴族・官人・寺社に競合があったというのが非常に面白かった。本郷先生らしく非常に読みやすい文章なのも良い。2014/05/15

とし

3
面白かった。鎌倉時代あたりを中心に、中世人の経済感覚を、豊富な一次史料、同時代文献などから探っている。著者がもっとも力を入れて解説してくれた当時の「商品」が、「官位・官職」で、この点が非常に勉強になった。なかなか中世の経済システムって勉強しづらいし、これくらいのライトな感じの書き方の方が読みやすくもある。江戸末期に、「七位や八位は、下駄屋や魚屋が買う官位で、そんな官位を持つくらいなら(武士は)無位無官の方がマシ」ってのが常識になってるのには驚いた。官位って、氏素性どころか苗字がない者でも買えたのね~。2014/06/02

Primavera

3
「お買い物」からさぐる、ということだったので、「買い物」=主婦と、すっかり自分の杓子定規で判断して「読みやすし」と思って読み出したら、日本の中世の貨幣の話から売官など当時の世相全般を解説してくれる内容だった。とは言え、とても読みやすく、「徒然草」の卜部兼好の悟りが、安定した生活の上に成り立っているものとスパッと指摘してくれたあたりは、あの有名な古典の世界観がいまひとつ理解しかねるというか腑に落ちていなかった私にとっては目からウロコの1冊だった。2012/05/01

和沙

2
これは面白い!鎌倉~室町(鎌倉中心)のいわゆる「中世」における、お買い物・貨幣価値・交易・売官などから、経済事情をさぐります。中世のカオス感がたまらなく好き。2010/04/21

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