出版社内容情報
【解説】
進化の中でタンパク質が経験し,獲得したことがらを学ぶことができれば,優れた機能性タンパク質を分子設計することも夢ではないことを解説。
【目次】
立体構造と機能の精密さと柔軟性・構造-機能相関・分子設計他
内容説明
本書、序章および第1章では、現存する機能性タンパク質の構造や機能がどのように分子設計されているか、またその両者がどのように相関しているかを解説する。タンパク質の構造や機能を考えるうえで特に重要なものは、酵素と抗体である。酵素は機能性タンパク質の代表であり、結合特異性を追及した究極の姿が抗体である。酵素にも抗体にもタンパク質の立体構造に秘められたさまざまな驚くべき「仕組み」が存在する。そして第2章では、これらの「仕組み」を理解したうえで、より高機能をもつ人工的なタンパク質をどのように分子設計すべきか、いくつかの新しい試みを紹介しながらタンパク質の分子設計の将来を展望する。
目次
序章 立体構造と機能の精密さと柔軟性
第1章 構造‐機能相関(理論化学的に見たタンパク質立体構造と機能の関係―立体構造データベースからのアプローチ;酵素触媒の原理;酵素の立体構造と触媒機構;酵素反応におけるラジカル触媒;極限環境生物の酵素;プロテインスプライシングとその生物学的意義;生体に学ぶ高親和性抗体の設計)
第2章 分子設計(タンパク質のデノボデザイン;エクソンシャッフリング;指向進化による酵素の基質特異性の改変;触媒抗体;単鎖可変域フラグメントとファージディスプレイ)
著者等紹介
後藤祐児[ゴトウユウジ]
1982年大阪大学大学院理学研究科博士課程生物化学専攻修了。現在、大阪大学蛋白質研究所教授・理学博士。ゲノムの次にタンパク質がある。しかし、タンパク質のフォールディングは決して簡単ではない。タンパク質の構造や機能を理解しようとしたら、フォールディング反応を解き明かすことが大切である。このような信念のもとに、βラクトグロブリン、β2グリコプロテインI、β3ミクログロブリンを用いて研究を行っている
谷沢克行[タニザワカツユキ]
1977年京都大学大学院農学研究科博士課程農芸化学専攻修了。現在大阪大学産業科学研究所・教授・農学博士。近況ゲノムのDNA配列からは直接わからないこと(タンパク質の立体構造と機能、タンパク質-タンパク質間相互作用など)に興味をもって研究を進めている。ゼフィルスの緑色の輝きやイシガキチョウの幾何学模様に心ときめかした昆虫少年の感動が、生物分野に進む大きな動機になったように思う。ただし、今は30数年前の標本箱にナフタリンを入れ替えるだけ
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