出版社内容情報
自ら考案した高階論理学から基数、実数の全体系を純粋論理的に導き出そうという「論理主義」の構想を、実際に遂行しようとした主著。全部で三部構成、ただし二部・三部の記号による証明部分は大幅に省略した。Ⅰ部では、現代論理学の枠組を決定する完全で無矛盾な一階述語論理学の公理体系が厳密に展開される。Ⅱ部では、「ある概念を充たす対象がいくつあるか」に答える基数論が取り上げられる。Ⅲ部では、単位量に比して「どれくらいの大きさなのか」に答える実数論が示される。いずれも心理主義や形式主義など、同時代の数学の哲学との果敢な戦い
目次
『算術の基本法則』第Ⅰ巻(1893)
序言
第1巻目次
結論
第Ⅰ部 概念記法の説明
1 原初記号
2 諸定義
3 派生的諸法則
第Ⅱ部 基数の基本法則の証明[抄]
『算術の基本法則』第Ⅱ巻(1903)
第Ⅱ巻内容目次
第Ⅲ部 実数[抄]
1 無理数論の批判
2 量の理論[抄]
後書き
編者解説
編者あとがき
索引
内容説明
論理主義を実際に厳密に遂行する。基教・実数の全体系を、自ら考案した高階論理学から導き出そうとしたフレーゲの主著。
目次
第1部 概念記法の説明(原初記号;諸定義;派生的諸法則)
第2部 基数の基本法則の証明(抄)(定理32:「ヒュームの原理」の証明;定理71:直続関係の一意性;定理89:先行関係について ほか)
第3部 実数(抄)(無理数論批判;量の理論(抄))
感想・レビュー
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roughfractus02
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著者の論理主義に発する現代のプログラミング言語は、計算機に構文を入力し実行するために、命題の真偽や全称/単称の区別や階層化から定義された最小限の言語によって、できる限り簡略化した手続きが必要である。本書では、『概念記法』を練り直した第1巻第Ⅰ部の論理の記号化の記述に、知識を拡張する際の一階と二階の関数を区別する異階関数という新たな想定が導入され、その試行錯誤した形成過程を読むことができる。ただ残念なのは、邦訳は大著である原著の第Ⅱ部「基数の機変法則の証明」と第2巻の「実数」に関する部分が抄訳であることだ。2017/02/07