内容説明
比叡山で修行の後、法然門下の若き念仏者として出発した親鸞。六角堂参籠での夢告から越後国への流罪を経て、東国常陸国稲田への移住、『教行信証』の述作へ、さらに唯円との出会い、晩年の善鸞義絶事件へ―。その九十年にわたる長い生涯は、「真にして実なる」絶対知の探求に向けて、絶えず内なる存在である自己を追求しつづけた「信」の軌跡であったといえよう。その波乱の生涯を背景に、一人の念仏者として自らを問いつづけた独自の思想の核心を読み解き、新たな親鸞の全体像に迫る。
目次
第1章 菩薩僧
第2章 回心
第3章 念仏者
第4章 流罪
第5章 非僧非俗
第6章 稲田草庵の日々
第7章 『教行信証』の世界
第8章 帰京
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
n yamamoto
2
宗教の開祖、的な人としては異常なほど資料が少ない人らしい。 佐藤氏は伝説よりも信頼できそうな資料を中心に語ってくれるので、親鸞聖人が誠実そうだってことはわかるけどカリスマって感じが全然伝わってこない。2019/09/08
aki
2
親鸞の思想と人生をスケッチ。過不足なく、まとまっているが、何点か疑問が。特に『教行信証』の「真宗興隆の大祖源空法師ならびに門徒数輩、罪科を考へず、みだりがはしく死罪に坐す」の個所を、「怒りや怨みあるいは悲憤といった個人的感情に彩られてるところのきびしさではない。(中略)憤りや怨みを読みとる通説は、読み手の先入観が一人歩きし、行文をよみそこねたもの」と断じる文章には、びっくり。おのが師匠が故もなく流罪に処せられて、怒りを感じない弟子がいるはずがない。著者は師弟ということが、ちっともわかっていない。2010/06/01