ちくま新書<br> 転落の歴史に何を見るか―奉天会戦からノモンハン事件へ

ちくま新書
転落の歴史に何を見るか―奉天会戦からノモンハン事件へ

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  • サイズ 新書判/ページ数 174p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480059376
  • NDC分類 210.6
  • Cコード C0221

内容説明

一九〇五年の奉天会戦から一九三九年のノモンハン事件に至る三四年間は、国家改造計画から共産主義思想まで、日本が内発的な改革に呻吟した時代だった。しかし結局、軍部の専制を防げず、敗戦という悲しみと汚名の結末を迎えることになる。自己改革が失敗に終わった原因はどこにあったのだろうか。

目次

第1篇 二〇世紀前半の日本への旅の準備
第2篇 奉天からノモンハンへ(ジェネラリストが消えるとき;組織が自己改革力を失うとき)
第3篇 現在への視座(「政か官か」からの脱却;改革の時代の世代論)

著者等紹介

斎藤健[サイトウタケシ]
1959年生まれ。東京大学経済学部卒業。83年、通商産業省(現・経済産業省)入省。資源エネルギー庁石油部流通課などを経て、91年、ハーバード大学ケネディ行政大学院で修士号を取得。94年より、通商政策局米州課で自動車交渉など日米交渉を担当。その後、大臣官房秘書課人事企画官、通産大臣秘書官などを経て、現在、内閣官房行政改革推進事務局企画官
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感想・レビュー

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mazda

18
日露戦争は、戦争前に山本権兵衛による強行なリストラと東郷の登用、外交、戦費調達、ロシアの革命の布石など、周辺を固めた上で行っており、「戦略が正しければ戦術のミスは取り返せる」を地で行ったものだと思います。しかし、その後の日本は、戦勝に浮かれ人事は硬直していきます。日露戦争時代と大東亜戦争時代では、武士道や人道において全く別の人種になっていたとも言われます。真珠湾攻撃でそれまでの大艦巨砲主義をひっくり返しながら、最後は武蔵にもどった理由を源田に聞くと、「水兵たちをリストラできなかった」からだそうです…。2017/10/15

skunk_c

10
日露戦争とノモンハン事件について何かあるのかと思い、積読になっていた本書を引っ張り出してみたが、全くの見当外れだった。歴史は司馬史観レベル(司馬遼太郎氏の小説を否定するつもりは全くないが、小説を読んで歴史を分かった気になるのはちょっとねぇ)で得るものなし。山本七平やら中西輝政やらが引かれているのであれと思い調べたら、さにあらん。僕と同世代の通産官僚だったのが今や与党代議士になってたのね。終章の世代論も浅薄で、要は「明治維新の生き残りのジェネラリストを懐かしむ」ノスタルジーに溢れた啓蒙本といったところか。2016/10/10

ヨミナガラ

7
“突き詰めれば、水兵の失業問題である。大艦巨砲主義で築かれた組織を変革することは、人情にもろく波風が立つのを嫌う日本人の性格では難しかった”“明治の元勲亡き後、日本はジェネラリストの強力な指導者を失い、それを埋め合わせる存在を、軍人としても政治家としても育ててこなかった”“どうやら、奉天の会戦とノモンハン事件の間に、日本流ノーブレス・オブリージュは死に絶えてしまったかのようだ”“軍隊は本来、最も合理性を要求される組織〔…〕明治の元勲たちが歴史の舞台から消えてゆくと、仲間意識〔…〕が、しだいに表に出てくる”2014/08/15

おらひらお

6
2002年初版。日露戦争から敗戦へ向かう時代を概観し、問題点や日本人の特徴を抽出し、その視点から現代を見直す本です。最後の世代論は脇に置くとしても、明治維新・敗戦と近代以降の日本を抜本的に変革するには、大多数の人にとって絶望的な状況に追い込まれる必要があることが再確認できました。現在の国の借金も絶望的状況に近づいてきつつあります。やや掘り下げが足りない本ですが、電車で立ち読みするにはちょうど良いかもしれません。2012/08/15

しんこい

5
改革の必要を感じても、人間をきれず見送ったり属人で考えた日本軍の転落とか、お題目に固執して現実から乖離とか、まったく今の日本そのもの。会社でも痛感。崩壊しないと再生しないのだとしたら困る。それにしても終盤の世代論あたりは今一つかも。2017/03/27

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