ちくま新書<br> 満たされない自己愛―現代人の心理と対人葛藤

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ちくま新書
満たされない自己愛―現代人の心理と対人葛藤

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  • サイズ B40判/ページ数 210p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480061041
  • NDC分類 145.7
  • Cコード C0211

内容説明

人は誰でも、自分を価値ある人間だと信じたい。人からも認められたい。しかし自己評価と他者評価は、しばしばズレる。そのとき自尊心は踏みにじられ、アイデンティティは深く傷つく。「自己愛」は、われわれに共通する心の性向である。他人から正当に評価されないことに対する恐怖と嫌悪、そこに生まれる葛藤こそが、現代人の人間関係を特徴づけるもっとも重要なテーマなのではないか。本書では、「満たされない自己愛」をキーワードに、自己にとらわれがちな現代人が直面する対人葛藤の深層に迫る。

目次

第1章 自己愛と自尊心(現代社会と自己愛;自己愛への関心 ほか)
第2章 自己愛の諸相(自己愛をはかる:NPI;自己愛と年代 ほか)
第3章 自己愛者の人間関係(一次的ナルシシズムと自己全能感;基本的信頼感 ほか)
第4章 対人葛藤と自己愛(対人葛藤と人間関係;葛藤の潜在化 ほか)

著者等紹介

大渕憲一[オオブチケンイチ]
1950年秋田県生まれ。東北大学文学部卒。77年同博士課程中退。96年学位取得(文学博士)。大阪教育大学助教授、東北大学教授を経て、現在、同大学院文学研究科教授。専門は社会心理学。特に、人間の攻撃性と紛争解決の心理的解析を行う
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テツ

14
自己愛と自尊心は大切なものだしそれが皆無だと生きていくのが辛いだろうけれど、自分自身への評価と他人の群れである社会から下される評価との間にあまりにも大きなズレがあるとそれはそれで問題となる。いつのまにか「自分を認めない社会への復讐心」を育んでしまう。自分という存在の価値は、自分は自分以外とは全く異なる唯一無二の存在だという事実から発生するのは確かなのだけれど、社会を構築して生きるぼくたちはそうした唯一無二の価値とは異なる他者により与えられる社会的な価値を求めてしまうのだ。そうした思考をまず理解すること。2023/12/05

香菜子(かなこ・Kanako)

6
自己愛とは何か、自尊心とは何か、自己愛と自尊心の大切さ、高過ぎる自己愛と自尊心の問題点、そういったことがわかりやすく説明されている良書。本書の中に人間関係を改善させるヒントがあるように思いました。 2017/07/23

hutosi

5
コフートとカーンバークな一冊。自己愛を独自に解読しながら自己愛を探っていく。自己愛をもたらすのは生きるのに必要な自尊心であり、その自尊心は自分の中で作られながらも他人にも作らされているという複雑に思えるものであると自分は感じた。そして自分の中だけの自尊心は自己愛性人格障害や妄想性人格障害に繋がる恐れがあって、それは他者への過剰な依存が背景にあるので他者の依存度を下げることが重要と著者は説く。これは他者依存を無くすことではなくて丁度いい湯加減を探すようなもの。目的社会の過剰適応もしかり。2013/11/02

ぽしぇっと

4
ナルシストは恋愛にもプライドを求めるので、自分を賛美してくれるか、周囲が羨む人を選び、恋人を征服し、振り回すことに喜びを感じるらしい。自由意思で恋愛しているつもりでも、実は自己愛に振り回されているのだろうか?自己愛の罠から抜け出すには、他者への依存度を下げる、つまり万雷の拍手よりただ一人のまなざしを大切にすることが大事。そのためには自己にとらわれず、逆に心を開き、信頼できる友人や恋人を求めこと。そして、社会に関心を持ち、人のために生きようとすることで利己的イデオロギーを乗り越えるべき、とのまとめに共感。2012/08/14

eri

3
自尊心はヒトの基本的な欲求であり、土台になるもの。自己愛が強いひとは、それが土台ではなく逆に満たすことが目的になっている。ただ自己愛は完全に満たされるってことはなく、何故なら他人の評価も形成の一部分だから。中和剤になるのは、万雷の拍手よりもただ一人のまなざしを求める姿勢。一人でも認め信じてくれるひとを得られたら生きていける。得るためには、自分をさらけ出して探すこと。2016/04/05

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