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ちくま新書
一神教の闇―アニミズムの復権

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  • サイズ 新書判/ページ数 238p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480063311
  • NDC分類 163.3
  • Cコード C0225

内容説明

人類は今、環境破壊と軍事紛争という二つの大きな課題に直面している。それはいずれも、一神教的世界観に支えられた畑作牧畜民によって引き起こされたものだった。彼らの文明のエートスである拡大への志向が、激しい自然破壊を引き起こした。同時に、家畜をコントロールするためには力が必要であり、その力の行使を正当化するために、超越的思考は畑作牧畜文明を形而上学的・倫理的にサポートすることになった。それに対して稲作漁撈文明は持続を重視し、江戸社会に見られる高度な環境調和型文化を築いてきた。そうした発想がどのように形作られてきたかを文明興亡史のなかに探り、環境考古学の立場から検証する。

目次

第1章 畑作牧畜文明から稲作漁撈文明へ
第2章 アニミズム・ルネッサンスと女性原理の復権
第3章 水利共同体が創った紛争回避メカニズム
第4章 文明史から見た日本とインド
第5章 環太平洋のアニミズム連合
第6章 江戸時代が築いた環境調和型文化
第7章 ハイテク・アニミズム国家の構築

著者等紹介

安田喜憲[ヤスダヨシノリ]
1946年生まれ。東北大学大学院理学研究科博士課程退学。理学博士。国際日本文化研究センター教授。スウェーデン王立科学アカデミー会員。京都大学大学院理学研究科教授(併任)、フンボルト大学客員教授などを歴任する。文明の盛衰を環境変動との関わりで調査・研究し、地球環境問題への提言は高い評価を得ている。2001年、地球科学や環境科学の分野で著名なクロホード賞にノミネートされる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テツ

14
一神教的な思想から創りあげられる(あげられた)近代の世界よりも、森羅万象に余す所なく霊性を見出すアニミズム的な思想により培われる価値観の方が好みだなあというお話。わりと強引で牽強付会だと感じる部分もありましたが、ぼく自身も木石や風や水に何かしらの意思を見出してしまう感覚の方が馴染み深く好きなので、そこまで違和感なく読み終えました。人間が強く賢くなるにつれてこの世界には人間以外の存在はどんどん駆逐されていき、種としての孤独と不安に責め苛まれるようになってしまった。2021/08/31

うえ

9
「利他の精神を養い、哀しみを抱きしめて生きる心の作法を醸成したのは、日本人と水との関係だった。稲作漁撈民が作り出した日本の水利共同体は、世界に誇れる水資源管理システムでもあった。自分の水田にだけ水を引いてしまったら、下流の他の人々はお米を作れなくなる…それゆえ規則を破ったものには、村八分という厳しい罰が科せられた…しかし第二次世界大戦後の、マルクス主義に立脚した日本の歴史学は、こうした里山の利用や水利共同体を封建性の負の遺産とみなす膨大な研究を進めた。その歴史観の影響のもと…ついには崩壊してしまった」2018/05/16

Humbaba

9
日本で暮らしていると余り実感がわかないが,宗教というものは非常に強い影響を与えている.現代は一神教の影響が強い.一神教の思想によって社会は発展してきた.しかし,その未来は暗いものになってしまっている.2013/04/05

mittsko

5
著者の安田氏は京都日文研出身、専門は地理学、環境考古学。氏の著作は多数にのぼり、その一神教批判、アニミズム称揚の論陣はよく知られていよう。本書はかなり論争的に(これまでの批判と反批判の応酬を下敷きに)書かれているので、日本のエスタブリッシュメントに多大な影響をおよぼす、この系譜の文明イデオロギーを知るにはうってつけだ。きわめて広大な、それでいて隙の見つけにくい、完結した世界観がここにはある。もしこのイデオロギーに反対したいのなら、同水準の視座を示す必要があるが、それはなかなか難しい作業だ2017/11/27

アルクシ・ガイ

4
途中から「中国の闇」になった。アニミズム礼賛は大いに結構(皮肉ではなく)だが、賛成出来かねる点も。ガンジーの非暴力は、人海戦術、人の盾です。個人的には好きじゃない。日本には魔女狩りはなかったが、村八分はあった。キツネ付きもあった。中国にカドミウム隠しがあるなら、日本には311の原発があった(本書は2006年に出版されている)。日本の神話は戦後の教科書にもしっかり載っていたぞ。全体的に著者は、何やら強迫観念に駆られているようだ。2018/11/02

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