内容説明
労働、土地、貨幣がすべて市場メカニズムの中に組み込まれて、いわば社会の実体が市場の諸法則に従属させられるにいたった“市場経済”社会は、人類史上きわめて特殊な制度的所産である―ポランニーは古代社会・非市場社会を、現在の市場経済と社会を映す鏡にして、経済人類学に大転換をもたらした。「経済が社会に埋め込まれている」非市場社会の考察を通じて彼が見出した、市場経済社会の特殊性と病理とは。20世紀中盤、高度資本主義社会の入り口において、鬼才が発した現代社会への警告であり、壮大なスケールで展開する経済人類学の古典的名著。
目次
第1部 市場社会とは何か(自己調整的市場と擬制商品―労働、土地、貨幣;時代遅れの市場志向;貨幣使用の意味論)
第2部 現代社会の病理(世界経済恐慌のメカニズム;機能的社会理論と社会主義の計算問題;ファシズムの本質)
第3部 非市場社会をふりかえる(ハムラビ時代の非市場交易;アリストテレスによる経済の発見;西アフリカの奴隷貿易における取り合わせと「貿易オンス」;制度化された過程としての経済)
著者等紹介
ポランニー,カール[ポランニー,カール][Polanyi,Karl]
1886‐1964年。ハンガリーに生まれ、第2次大戦後は主にアメリカ合衆国で活躍した経済人類学者。いわゆる未開社会の経済から、近代の資本主義経済までを視野に収めた経済史を論じ、経済や交換に関する人類学的研究に大きな影響を与えた
玉野井芳郎[タマノイヨシロウ]
1918‐85。元・東京大学教授。経済学史・経済体制論
平野健一郎[ヒラノケンイチロウ]
1937‐。早稲田大学教授。国際関係論
石井溥[イシイヒロシ]
1943‐。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。文化人類学
木畑洋一[キバタヨウイチ]
1946‐。東京大学教授。イギリス史・国際関係史
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