出版社内容情報
煙突掃除の少年たちの友情を描いた不朽の名作、待望の復刊!けなげに生きる秘密結社(黒い兄弟)の仲間たちの、波乱万丈の物語。 小学校中学年~中学生
内容説明
日照りの年、ジョルジョのもとに突然あらわれた“ほお傷の男”アントニオ・ルイニ。それは、ミラノからアルプスまでその名をとどろかせる恐ろしい“奴隷商人”だった…。「煙突掃除!煙突掃除をいたします!」食事もろくに与えられず、服はぼろぼろ、はだしで冬のミラノの街をゆく…。つらい仕事とわかっていても、この時代、地方から売られてきた少年たちにほかに生きる道はなかった。アニメ世界名作劇場「ロミオの青い空」原作本。
著者等紹介
テツナー,リザ[テツナー,リザ][Tetzner,Lisa]
1894年、ドイツ東部に生まれる。1933年、ナチスの政権掌握とともにスイスに亡命。1963年に亡くなるまで、『黒い兄弟』の舞台になっているルガーノ近郊で創作活動に従事した。代表作である『黒い兄弟』は、1941年に出版されて以来、ヨーロッパ各国で翻訳出版、テレビドラマ化され、子どもたちの圧倒的人気を呼んだ
酒寄進一[サカヨリシンイチ]
1958年、茨城県に生まれる。上智大学、ケルン大学、ミュンスター大学に学び、新潟大学講師を経て、和光大学表現文化学科教授。現代ドイツ児童文学の研究と紹介を行っている
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
29
一人当たりのGDPではトップクラスのスイスにも貧しい時代があった。イタリアとの国境近くの村では子供を煙突掃除の年季奉公に出していた。期間は半年、20リラで売られ、83リラで転売された。掃除代金は1回1リラなので、他人の子を雇って一家が暮らせるような格差が1830年代のスイスの寒村とミラノとの間にあった。一方、数え年7歳の「おしん」が奉公に出たのは日露戦争直後の1907年。山形の寒村には一人増えれば一人減らすという制限があったという設定。スイスもわが国も近代化の過程でこのような悲劇的な格差を独力で縮小した。2016/08/12
Akihiro Nishio
26
「ロミオと青い空」の原作。アニメは見ていないが、原作のことは当時から知っていた。勝手にロシアが舞台と思っていたが、スイス-イタリアだったのだな。名前もロミオだし。原作ではジョルジョだが。ゆっくりとしたペースで進み3分の2で、ミラノに到着。たっぷり地元の描写をしたってことは最後戻ることはできるのだろう。児童文学らしく、時系列が前後しないが、もっさり感も。大人向けに書けば、煙突掃除のシーンから始まって、回想で故郷を描くだろう。黒い兄弟に合流した主人公だが、今後どう展開していくのか?相棒は結核だな、きっと。2018/08/22
はるき
18
大好きだった「ロミオの青い空」の原作の上巻。子供が家族のために出稼ぎに出てさんざ苦労と冒険を通してかけがえのない仲間を得て大きく成長していく。厳しい描写が多くて息が詰まるようだが、力強い少年たちのおかげで読後感は壮快。2016/04/02
アイアイ
15
やや涼しくなり児童書を読み直したい季節です。親が子を売る経緯、食事をもらえない中の激務と体罰。何度読んでも許せない悪役たち・・!今読んでも胸が熱くなる大好きな作品です。ロミオの青い空も再放送中、放送から19年経ってもずっと心の支えでいてくれるアニメーションです。▽図書館2014/09/02
紗南
12
これ児童文学だったんだ...人買いに売られたスイスの少年達がミラノで過酷な煙突掃除の仕事をさせられる話。もう、ほんとにいろいろ酷すぎて、辛かった。それも、主人公のジョルジョが好青年で、泣くまいと食いしばったり、酷い仕打ちに我慢したり、悪人さえも助けたりする姿に胸を打たれた。2017/07/27