内容説明
見たり聞いたり感じたり…五感を通じて人はものに働きかけ、世界は形づくられる。時計、ガラス、スピーカー、ポットなど、身近なものたちを素材にして考える、日常経験の社会学。
目次
序章 スナップショットの方法
第1章 身体に巻きつく時間
第2章 透明な部屋
第3章 耳に届くもの
第4章 「押す」という従属
終章 ものと人間への視点
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひつまぶし
1
序章で「スナップショットの方法」として提示され、終章で考現学との関係で考察された視点と方法が面白い。切り取られた場面に収まっているものはもちろん、その枠の外にあって写っていないもの、その写真を撮影した人といったふうに想像力を広げつつ、ものと人との関係の理解を深めていく。社会学がものや場所の大切さを軽視してきたという問題提起とそこへ立ち帰ろうという試みは興味深い。もともとは大学の社会調査法の授業での取り組みがあるという。しかし、肝心の中身はそうした方法論とはまったく関係のないエッセイに終わっているのが残念。2021/11/05