内容説明
人類学者と老人は古くて新しい友人である。伝統文化の伝承者・インフォーマントとしての老人ではなく「老い」そのものについて、高齢者の意味、老化のプロセス、老人の生活や意見、社会的地位や役割の分析等を通して考察する。
目次
1 長寿のシマ沖縄の高齢者たち
2 敬われる老人たちの姿―ベトナムの国家、村落、家族による処遇
3 アラブ・イスラーム社会における「老い」―若齢社会チュニジアの老人たちの肖像
4 歴史の狭間を生きたアボリジニの老人たち―アボリジニ政策に翻弄された「長老」たち
5 今を生きるイヌイトの老人―知識と技術の宝庫
6楢山節の比較文化考―昔の老人と今の老人はどちらが幸せか
7 老後をどう生きぬくか―ロシア極東の高齢者
8 アメリカ中西部ホームタウンの「独身」高齢男性―ケアリング精神の実践者たち
9 「ヘルピング」と「世話をする」―アメリカ人の自立と介護
著者等紹介
青柳まちこ[アオヤギマチコ]
茨城キリスト教大学
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
66
歴史の狭間を生きたアボリジニの老人たち 上橋菜穂子 アボリジニ制作に翻弄された「長老」たち 1 アボリジニの「長老」像 2 アボリジニ文化が消されていった時代 3 アボリジニ文化が称賛される時代の中で 伝統文化を知らない人達。 参考文献 隣のアボリジニ 上橋菜穂子 執筆者紹介 多文化国家の先住民(地方のアボリジニ) 世界思想社2013/05/04
tellme0112
1
上橋菜穂子さんの書いたものなら何でも良いから読みたくなって図書館でリクエストした。それ以外の報告も面白い。特に、アメリカ人の仕事観、が面白い。介護を必要とされる人に対してどう介護すべきか、というところは考えさせられた。親孝行しないとなあ。2013/10/22
MIRACLE
0
人間の老いにかんする人類学者の研究と報告を9編収録した論文集。老いの問題とその解決を考える入り口をつくった程度の、内容だった。蛸壺的な議論から脱却するには、「老い」についての明快な定義をふくめ、研究の方向性をつくることが、まず、必要なのではないだろうか。一方、個別の内容については、編者による「楢山節の比較文化考」が、老人遺棄や老人殺しの慣行を記述していて、興味深かった。なにより、深沢七郎の「楢山節考」の物語に、痛く、興味をいだいた。2014/11/02
ふっちゃん
0
この本をきっかけに、これからの高齢者の生き方や文化人類学に興味を持った。2020/08/01