内容説明
夢の女は誰なのか「夢十夜」を手がかりに、漱石のさまざまな作品に通底する深層の象徴を読み解き、漱石にとって、理想の女性とはどんな女性であったのか、その〈原形〉をさぐりあてる、まったく新しい視座からの漱石論。
目次
1 神秘的な老人とアニマの美女たち
2 西に向かって行く船からの身投げ
3 水中の美女の呼び声
4 理想の裸身とアニマ
5 参禅の失敗と自己
6 明恵の夢と開かない門
7 被害妄想とカフカ
8 苦沙弥先生の悩み〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Sumichika3
1
読んだといっても、随分前のこと。表装の絵柄はラファエロ前派のジョン・エヴァレット・ミレーの、あの「オフィーリア」。なんとも甘美で恐ろしい水死する女のイメージは『薤露行』の典雅な古譚や『草枕』の那美さんなどに見えるけれど、漱石は英国滞在中にミレーの絵を見ていたのでしょう。神話学者の吉田敦彦先生のこの本は艶やかな魅力に溢れています。漱石が描く不思議な人物たちを手がかりに神話学的な洞察と呼応し合う漱石の想像力の世界の奥行きの深さを教えられる。
asukaclaesnagatosuki
1
読んだといっても、随分前のこと。表装の絵柄はラファエロ前派のジョン・エヴァレット・ミレーの、あの「オフィーリア」。なんとも甘美で恐ろしい水死する女のイメージは『薤露行』の典雅な古譚や『草枕』の那美さんなどに見えるけれど、漱石は英国滞在中にミレーの絵を見ていたのでしょう。神話学者の吉田敦彦先生のこの本は艶やかな魅力に溢れています。漱石が描く不思議な人物たちを手がかりに神話学的な洞察と呼応し合う漱石の想像力の世界の奥行きの深さを教えられる。