内容説明
軽やかに飛翔する鶴見和子の思想世界! 個人史で描く日本人の戦後史。
目次
1 移民研究(移民研究の意味;ステブストン物語;日常生活―ニュー・ハウスへの夢 ほか)
2 生活記録運動(序 生活記録以前;生活綴方教育にまなぶ;主婦と娘の生活記録;話しあい書きあう仲間;『母の歴史』をつくった人たち;生活記録運動の展望;女三代の記;戦争体験年代史へのこころみ;本を読んで ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
22
鶴見和子が自分に最も合った手法、という「個人史」、その原点である「移民研究」と「生活記録運動」を収録。鶴見自身の留学時の「チンジマリ=change one!s mind=心変わり」体験、運動内での関わり合いの体験をベースに、対象を対象として突き放すのではなく、一緒に生きていく文章たち。それがとても心地よく、この分厚さ自体、愛しくなってくる。◇人間は書くことをとおして変化、成長する。それは、大人になっても、老人になっても続く。七十五歳で「生涯何にも無駄になったことはない」と言える力強さ。ほんと、カッコいい。2014/05/17
壱萬弐仟縁
17
「ステブストン物語」(1961年初出)。 Y夫人は、夫とともにクリーニングやをしていたが、かの女が42歳のとき、 夫は、6人の子どもと、「山のような借金」とをのこして、長いわずらいのあとで死んだ(123-4頁)。 わたくしもY夫人と同年齢だが、6人もの子供を女手一つ、なんてのは想像を絶する苦しさだろう。 「世界市民への芽ばえ」の節(209頁~)で、「文化的世界市民像」(215頁~)がある。 世界市民像には文化的多元性をつくりだし、のばしてゆくエネルギーもふくまれるという。 2014/03/13