内容説明
近代哲学および倫理学研究の第一線で活躍してきた著者が、新たな観点から従来の思想史理解の問題点を浮き彫りにし、1970年代から始まるフェミニズム思想の主要な展開を簡潔に論述することによって、フェミニスト倫理学の現代的課題を明らかにする。単なる形而上学批判に安住せず、伝統的な正義論とともに、女性が歴史的に培ってきたケアの精神を柱に据えて新しい倫理学を構想し、著者は時代が要請する男女共生社会の可能性を示した。明快な叙述と達意の訳文とが相俟って、本書は研究者ばかりでなく、一般社会人や学生にとっても必読の、魅力的な哲学入門になろう。
目次
1 フェミニスト倫理学とは何か?
2 フェミニスト倫理学の歴史
3 ジェンダーの視点 男女どちらかの性に特有な道徳の倫理学
4 男性中心的な形而上学
5 二つの道徳
6 回顧と展望
著者等紹介
岡野治子[オカノハルコ]
1941年生まれ。1975年、ドイツ・ボン大学より学位Dr.phil.。現在清泉女子大学学長。専攻は宗教間対話、応用倫理学、女性学
後藤弘志[ゴトウヒロシ]
1961年生まれ。1991年、広島大学文学研究科倫理学専攻博士課程後期単位取得退学。2004年、ドイツ・トリア大学より学位Dr.phil.。現在くらしき作陽大学非常勤講師。専攻は現象学、徳倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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