内容説明
国土は広く、人も多く、古い歴史の中国。「チュウゴク」とは何か、そしてこれからどこへ行くのだろうか。「一つの世界」を形成する独特の風土に生きてきた人びとの人間観・家族観をさぐり、さらに近代を象徴する都市・上海と上海女性の気質を描きだす。新たなる中国論の誕生。図版多数。
目次
「チュウゴク」とは何か
1 人(人とは何か;大家族制―宗族;小家族)
2 風土(地形;天下と皇帝;南と北)
3 近代(上海・租界;上海・流行の先端;上海女人と近代女性;近代の挫折と再出発)
チュウゴクはどこへ
著者等紹介
竹内実[タケウチミノル]
1923年中国山東省に生まれる。1949年京都大学文学部(中国文学専攻)卒業。専攻は中国文学、現代中国論。現在、京都大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おらひらお
8
2009年初版。中国を人・風土・近代という切り口で実体を浮かび上がらせようとしたものです。ただ、話があちこちに飛ぶので、ややわかりにくい印象もありました。上海の位置づけと風俗の変化が興味深いですね。2013/10/20
sibasiba
7
旧式の結婚から文明結婚に、果ては集団結婚という移り変わりが興味深い。「第9章 上海女人と近代女性」が一番の読みどころ。2015/06/05
壱萬弐仟縁
7
黄土高原の地形写真は初めて見た(92頁)。これらはユニークだ。黄砂やPM2.5問題で大気汚染や国境問題があるものの、この国とどう付き合うべきか、ヒントを得たくて借りた。上海は東洋のパリ(137頁)。フランスはボンマルシェだから百貨店があるようだ(160頁~)。文明開化のような雰囲気が集団結婚や社交ダンスなどで感じられる。他方では列強による分割の時代でもあった。2013/03/20
或るエクレア
5
中国と言うと政治を通して見がちだが、風土や近代文化から見ると違った印象になる。彼らは楽しむ人達であり、楽しむエネルギーが今の理不尽な中国社会を支えているのだ。2016/12/13
セイタ
2
中国についての本!挿し絵が多くて、分かりやすい。無意識にだと思うが著者は西欧中心主義のもと、論をすすめているような気がする。 中国では淮河、漢江で南方と北方ではっきり区別される。南方は異民族を嫌う傾向にあるらしい。この本で特徴的なのは租界としての上海を中国本土と対比して説明したことだ。屈辱の近代を過ごした中国とは異なり、上海は日本と同じように近代化を行ってきた。特に女性の社会進出が進んでいた。 映画、胡蝶の話が印象に残った。2014/01/05