出版社内容情報
戦後思想史に独自の軌跡をしるす著者が、戦中・戦後をとおして出会った多くの人や本、自らの経験や決断を縦横に語る。類いまれなその体験と独特の感性が光を放つ著者80年の回想。『図書』連載「一月一話」を集成。
内容説明
戦後思想史に独自の軌跡をしるす著者が、戦中・戦後をとおして出会った多くの人や本、自らの決断などを縦横に語る。抜きん出た知性と独特の感性が光る多彩な回想のなかでも、その北米体験と戦争経験は、著者の原点を鮮やかに示している。著者八十歳から七年にわたり綴った『図書』連載「一月一話」の集成に、書き下ろしの終章を付す。
目次
1 はりまぜ帖
2 ぼんやりした記憶
3 自分用の索引
4 使わなかった言葉
5 そのとき
6 戦中の日々
7 アメリカ 内と外から
著者等紹介
鶴見俊輔[ツルミシュンスケ]
1922年生まれ。ハーヴァード大学哲学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
93
鶴見さんが岩波の読書雑誌「図書」に連載されていてすでに読んでいますが、このように1冊にしてくれて同じテーマなどに分けてくれるとまた別の味わいがあります。とくに小学校や中学校では不良少年であまり勉強していなかった著者が父親にアメリカに行かされて仕方なく英語を勉強するところが印象に残りました。よく小さい時のことを覚えていますね。2021/12/09
どんぐり
31
著者80歳から7年にわたり月刊誌『図書』に連載した「はりまぜ帖」「ぼんやりした記憶」「自分用の索引」「使わなかった記憶」「そのとき」「戦中の日々」「アメリカ 内と外から」の7章84篇の回想備忘録。15歳でアメリカに渡り、19歳に日米開戦を迎え、日米の国交は断たれて、日本に帰る術がない。この時の北米体験と戦争体験を原点に戦中・戦後を回想する。『記憶を編みなおす』には、こんな一文がある。「個人の名前は消えてゆく。私においては地名はもっと早く消える。あるというだけの大海に向かって進む。『ある』の向こうに『ない』2013/07/25
踊る猫
28
子どもの頃のことを実によく覚えているな、とその記憶力に舌を巻く。そして、その他愛もない(失礼!)記憶がそのまま鶴見俊輔という思想家の思考の原点/本質となって結実している。肩肘を張らず、見聞きした出来事や書物や人々などの「体感」した体験をそのまま筋の通った思索/思考につなげていくスタンスは実に無理もムダもなく、この小書の中に(も)鶴見俊輔の思考のエッセンスはそのままで立派に息づいている、とさえ言えるのではないか。おおらかに相手/自分の弱さを許容し、立場の違いを超えて普遍的な真理を目指す。これは実にアナーキー2022/02/17
壱萬弐仟縁
28
哀悼の意を込めて、信州風樹文庫より拝借してきた。人間には、卒業しやすい型と卒業しにくい型とがある(4頁)。学校の勉強からの解放は、たのしい時間をつくる(11頁)。柳宗悦『蒐集物語』中公論社、1956年という薄い1冊で蒐集は、美術館に行っても、そこにあるものとくつろいでつきあう感じにならないと、心に残らないという(28頁)。自然体でいきましょう。水木しげるの『河童の三平』は鶴見氏の古典であるという(32頁)。マンガの大衆文化史を教えてもらった経緯があるので、そこにも水木漫画が登場していたのを思い出した2015/09/27
jahmatsu
25
鶴見氏80歳代後半のエッセイ集。とても読みやすいが、アメリカ、戦争に関しての言葉には重みがあり軽く流せない感じ。記憶力もハンパなし。滑らかに尖ってるエッセイ集。2018/04/13