出版社内容情報
幕末に生まれた子規は、明治という時代と共に成長する。彼は俳句・短歌・文章という三つの面で文学上の革新を起こし、後世に大きな影響を与えた。そのみずみずしい文章を紹介しながら、子規の生涯を生きいきと描きだす。
内容説明
幕末に生れた子規は明治という時代と共に成長した。彼は俳句・短歌・文章という三つの面で文学上の革新を起こし、後世に大きな影響を与える。子規の言葉は新しくなろうとする近代日本の言葉でもあった。そのみずみずしい俳句・短歌・文章などを紹介しながら、三十四年という短い人生を濃く溌刺と生きぬいた子規の生涯を描きだす。
目次
第1章 少年時代(十二歳までの子規―前文大略;妹の誕生と父の死―国債の償却 ほか)
第2章 学生時代(子規という名前―今より十年の生命;立身出世の途―読書して名を挙ぐる ほか)
第3章 記者時代(芭蕉批判―寥々晨星の如し;文学上の芭蕉―文学上の破天荒 ほか)
第4章 病床時代(褥に臥す―新体詩の詩人として;遊戯の中心―「松蘿玉液」の文章 ほか)
第5章 仰臥時代(文章の新しい形式―墨汁一滴;転換と客観―痛い事も痛いが ほか)
著者等紹介
坪内稔典[ツボウチトシノリ]
1944年愛媛県に生まれる。1972年立命館大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、佛教大学文学部教授。俳句グループ「船団の会」代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
115
正岡子規の生涯を克明に描いた力作だと思います。十二歳の子規が書いたものから初めて最後に亡くなるまで各章ごとに最初にぬんしょうを掲載しその関連の出来事などを記して俳人子規の生涯をうまくつづっていると感じました。彼の書いた文字なども掲載してくれていますが本当にうまい字を書いています。2015/11/12
どんぐり
89
子規の残した文章・俳句・短歌などからその生涯をたどる評伝。子規の有名な「柿くへば鐘が鳴る鳴り法隆寺」は、漱石の「鐘つけば銀杏ちるなり建長寺」に返句にあたる。子規の漱石との交友は寄席好きが縁で明治22年1月から始まり、明治28年には松山中学で英語を教えていた漱石の下宿「愚陀仏庵」に仮寓し、句会を開いていたという。結核で臥床に至る「病床六尺」の世界からは、“書くことは鬱さ晴らし”という子規の言葉があり、死の間際にあっても自分を対象化して書き続ける子規の姿が見えてくる。2022/03/30
なななな
7
四国研修旅行で、記念館に行きそこで自分へのお土産で買った本。子規は「坂の上の雲」、特に大河ドラマの香川照之さんがイメージ強烈でした。この本は、副題にもあるように書かれた言葉中心。しかし、その抜きだしと解説本文の短い構成が、強烈な子規の人生でありながら、素敵なエッセイを読んでいるようで心地よく読めました。2017/12/01
あらばまやまねこ
4
12歳の作文から絶筆まで、子規の書いた文章を読むことによってその生き方を浮かびあがらせている。正岡子規というと真っ先に俳人という肩書が出てくるが、俳句だけでなく和歌、批評、病床記、手紙などまさに死の間際まで書いて書いて書きまくった人生だった。2022/03/24
はち
4
松山に生まれ育った俺にとって正岡子規は神様みたいな存在で、それこそ子規の生涯なんて子供の頃に学ぶのだけれど、文体の変化や思考の変化まで解説しているのは珍しいなぁ。2014/07/26