内容説明
いまだ記憶に新しいスマトラ沖地震津波。巨大地震発生帯に位置する日本列島も、同様の津波に襲われる可能性が十分にある。来たるべき大津波に、どう備えるか。重要なのは、被害をいかに最小限におさえるかという「減災」の視点だ。災害研究の第一人者である著者が、津波減災社会の構築へ向けた具体的施策を示す。
目次
序章 “安全な津波”はない
第1章 津波は恐ろしい
第2章 津波災害はくり返す
第3章 津波情報に注意せよ
第4章 津波が来たらどうする?
終章 津波災害に備える
著者等紹介
河田惠昭[カワタヨシアキ]
1946年大阪に生まれる。1974年京都大学工学研究科土木工学専攻博士課程修了、工学博士、京都大学工学および情報学研究科教授、巨大災害研究センター長、防災研究所長を経て、現在、関西大学社会安全学部長・教授、阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター長(兼務)。2007年国連SASAKAWA防災賞、2009年防災功労者内閣総理大臣表彰などを受賞。専門は防災・減災、危機管理(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アルゴン
4
★★★★☆波の知識のところは少し読むのに時間がかかりましたが、津波のしくみから災害シミュレーション、予防・対応策までバランスよく書かれていますので、けっこう参考になります。結局は意識の問題という論は山下文男氏と同様。2011/10/15
nagoyan
4
優。「予言の書」というと不謹慎か。あの津波被害は本書によっても想像以上(安全と考えられていた3階が被災)だったといえるが、しかし、津波の危険は本書によって十分に警告されていたことを知ると、われわれの社会の想像力の乏しさを痛感せざるを得ない。津波は波というより「早い流れ」とする指摘は、実際にTV映像でいやというほど確認させられた。2011/05/21
yuka_tetsuya
4
昨年の12月に出版されたが、その内容はすべて東日本大震災による大津波とその被害状況を予言した本のようである。津波と高潮との違いがようやく分かった。また津波は読んで字のごとく波の性質を持っているので、屈折、反射、共振などが地形の複雑さと相まって生き物のような複雑な行動をとる。津波レンズという言葉があるのはおもしろかった。立っておれないほどの地震が来たらまず逃げる。しかし揺れなくておそってくる場合もある。常日頃から情報を集め、どう逃げるかのシミュレーションをやっておかないといけないと実感した。2011/05/18
コサトン@自反尽己
4
初版発行は昨年。 文中では三陸に関する記述もいくつかあり、複雑な気持ちにさせられました。危惧されていたとはいえ、まさかこんな想定外の震災が起ころうとは…。 風化することがないよう、我々は学び、これからに活かさねばなりません。犠牲になられた方々の命を無にしないためにも…。【書】2011/03/26
mdoguti
3
3.11直前に出た本(2010年12月17日第1刷発行)。残念ながら著者の危惧は悉く的中している感は否めない。 学者の意見を『現実を見ない理想論』と受け流すのではなく、真摯に向き合うべきものだと思わされた。 2020/08/05