内容説明
独裁政権と闘うジャーナリスト、難民キャンプで暮らす少女、配偶者から硫酸で顔を焼かれた女性、震災で家族を失った被災者、誘拐され結婚を強要された女子大生―。世界最大規模の報道写真祭で最高賞を受賞した気鋭の写真家が、世界各地で生きぬく人びとに寄り添い、その姿を報告する。カラー写真多数。
目次
第1章 報道の自由がない国で―ガンビア
第2章 難民と内戦の爪痕―リベリア
第3章 HIVと共に生きる―カンボジア
第4章 硫酸に焼かれた女性たち―パキスタン
第5章 震災と原発―日本
第6章 誘拐結婚―キルギス
著者等紹介
林典子[ハヤシノリコ]
1983年生まれ。2006年、大学在学中にガンビア共和国の新聞社で写真を撮り始める。2011年名取洋之助写真賞、12年DAYS国際フォトジャーナリズム大賞、13年フランス世界報道写真祭Visa pour l’Image(ビザ・プール・リマージュ)報道写真特集部門で最高賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
79
先週号の『サンデー毎日』で,イスラム国に奴隷にされた女性たちを現地リポートしていた林典子さんは,気鋭のフォトジャーナリストである。本書は,報道の自由がないガンビアでの記者見習いから始まり,難民と内戦の爪痕が残るリベリア,HIVに感染して生まれた子どもをルポしたカンボジア,名誉を傷つけられたとする男や近親者から報復として硫酸で顔を焼かれる女性の事件が絶えないパキスタン,「誘拐結婚」の慣習があるキルギス,そしてフクシマなどを写真と共にルポしている。この世界では,人間の尊厳を奪う悲劇的な事件がいまも起きている。2015/06/07
kinkin
53
宇宙規模で見れば実にちっぽけな星である地球。そこに住むのは同じ人間だ。そこからもっと近寄って見ると実に様々な文化や風習、宗教、政治というものの下、本人は人らしく生きるのが当たり前。しかしここに書かれている世界の片隅には人の尊厳が著しく否定されていることが多いこと。そこに立ち会った著者の写真も載っている。写真家としての実績は少ないというが、彼女は写真家の立場よりむしろジャーナリストの立場でシャッターを切っているため、その分感情も込められていると思う。自分や家族の立場になって読むこともよいかもしれない。2015/01/31
らむり
37
硫酸をかけられ顔を損壊した女性や、誘拐され結婚を強要される女性たち。慣習と言う人もいるけれど、女性の人生をメチャクチャにする、絶対に許せないことだと思います。衝撃写真多数です。2014/03/29
壱萬弐仟縁
27
モノクロ、カラー写真多用。ガンビア、リベリア、カンボジア、パキスタン、日本、キルギスの人間模様。西アフリカ諸国がエボラ出血熱の発症地だから、その意味で苛酷な地域に生きる人間の姿をよく撮影したものだと感服。硫酸の被害に遭った女性の顔は、ケロイド状で大やけどを負った傷痕は一生引きずる(115頁他)。私が女性なら絶え難いが、犯人の蛮行には憤りをもつ。パキスタンはマララさんがノーベル平和賞を受賞したのに、子供たちが惨殺された報道もある。現実を見せつけられるのは酷。2014/12/20
ふろんた
22
顔に硫酸を欠けられた女性とか、誘拐結婚させられた女性とか衝撃的でした。文化の違いや慣習であったとしても、妹を持つ男性がそういった行動をするなんて。ルポだけではなく、著者が見たものをどう伝えるべきかという葛藤も含めて読みごたえがあった。2014/04/14