出版社内容情報
東日本大震災の直前に刊行され、大きな反響を呼んだ本書。311大津波と南海トラフ巨大地震について増補する。
内容説明
「必ず、来る!」。東日本大震災の発生直前、そう警鐘を鳴らし、震災後に大きな反響を呼んだ本書。今回、最新のデータと調査研究をふまえ、311大津波の実相と、南海トラフ巨大地震で想定される被害の様相について増補する。決して避けられない、迫り来る「国難災害」。その減災・縮災対策の緊急性を訴える。
目次
序章 “安全な津波”はない
第1章 津波は恐ろしい
第2章 津波災害はくり返す
第3章 津波情報に注意せよ
第4章 津波が来たらどうする?
第5章 東日本大震災の巨大津波と被害
第6章 南海トラフで予想される巨大津波と被害
終章 津波災害に備える
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
14
19頁。津波が沿岸に来襲すると、ほぼそのまま反射して今度は沖に向かう。だから南海地震で発生した津波が紀伊水道を北上するとき、東西の和歌山県と徳島県では津波のキャッチボールが行われる(これを多重反射という)。このため、たとえば田辺市にはおよそ20分ごとに津波が来襲するようになる。同じことは豊後水道をはさんで愛媛県と大分県でも起こる。瀬戸内海に津波が入れば、複雑な海岸線と多くの島があるので、津波は反射を繰り返し、それらが時空間に重なるから大変複雑になる。2024/03/16
モリータ
13
◆2010年刊、2018年増補版(本書)刊。著者は京大工学・情報学研究科や災害・防災関係の研究所長を経て、関大特任教授・人と防災未来センター長。専門は防災・減災、危機管理。著者は「避難すれば助かる」という事実を知るために、津波災害に関する包括的知識として自然科学、社会科学、実践科学の研究成果をバランスよく伝えようとする。確かに、津波にまつわる誤解、物理的なメカニズム、東日本大震災を含む歴史上の津波災害や来るべき南海トラフ大地震、避難や減災対策など、広く具体的に扱われている。2022/03/03
うぉ
12
来るべき災害に備え人命を守ろうと必死に研究し本を執筆する彼らからすれば、僕ら一般市民は極めて無能なのかもしれないと思った。僕ら一般市民は、過去の災害の勉強をしないし、避難勧告を出しても動かないし、津波が来ているかもしれないのに海岸を見に行くし、そしてこの本すら読まないのだ。まずはやれるべきことをやらなくては。2019/04/16
mutsumi
3
卒論準備の一環として津波災害を知るために読んだ。 津波は引き波から始まるわけではないし、避難は垂直避難が有効ということなど、津波対策として何をすべきかの知識が得られたと思う。 中でも東京の津波被害は万が一の事態の時にはかなり深刻そう。お出かけするのが好きだから、出先で津波にあった時にどうすべきかを考えておくと生き残れるかもしれない。2022/08/21
よし
2
発刊3か月後に3.11が発生したという有名な新書の増補版。兵庫県の「人と防災未来センター」センター長であり、防災学・減災学の第一人者の著者が津波のメカニズムや津波対策などを分かりやすく解説したオリジナルの内容にその後の知見を加え、東日本大震災の検証と南海トラフ地震による津波予想を記述した章を新たに追加。「逃げるしかない」ことを伝えていくことの大切さ、個人・地域社会・行政や企業がそれぞれ(急いで)津波災害に備えることの重要性が良く分かります。2018/05/16