すべて真夜中の恋人たち

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  • サイズ B6判/ページ数 304p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062172868
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

<真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。
それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよと、いつか三束さんが言ったことを、わたしはこの真夜中を歩きながら思い出している。>
入江冬子(フユコ)、34歳のフリー校閲者。人づきあいが苦手な彼女の唯一の趣味は、誕生日に真夜中の街を散歩すること。友人といえるのは、仕事で付き合いのある出版社の校閲社員、石川聖(ヒジリ)のみ。ひっそりと静かに生きていた彼女は、ある日カルチャーセンターで58歳の男性、三束(ミツツカ)さんと出会う・・・。

あまりにも純粋な言葉が、光とともに降り注ぐ。
いま、ここにしか存在しない恋愛の究極を問う衝撃作。

~読者モニターから反響の声が届いています~
■川上さんが描く恋愛とはどんなものか。とても期待があった。そして期待は裏切られなかった。物語後半から一気に展開し、どんどん作品世界に引き込まれていく。自分は男性だけれども、多くの女性に読んで欲しい一冊である。(30代・男性)
■読んでいるとじわじわと私に浸透してある頃の懐かしさを思いおこさせてくれる物語。(40代・女性)
■彼女がゆっくりと彼を忘れるまでにとった行動に、私は自分でびっくりするほどの涙を流した(30代・女性)
■ときには暗闇に沈みたくなっても、自分が落ち着ける明るさに出逢えることがどれほど幸せか、それを想像しただけで満ち足りた気分になった。(20代・男性)
■この本は決して恋愛だけではなく、生きるうえで不可欠な人とのかかわりのなかで、「いかにおぼえていること」と「いかに忘れるか」の大切さを教えてくれた。すべての思い出と寄り添っていこうと感じさせてくれる、そんな一冊だった。(20代・女性)
■最後の最後まで読んだとき、すべてわかったような気がした。もちろん、すべてではないかもしれないが、「あぁ、なるほど」と思えたのだ。タイトルの意味、そして登場人物のゆくえ。哀しく、しかし、希望のある終わり方だったと思う。読み終わると綺麗な気持ちになっていた(10代・男性)

内容説明

孤独な魂がふれあったとき、切なさが生まれた。その哀しみはやがて、かけがえのない光となる。芥川賞作家が描く、人生にちりばめられた、儚いけれどそれだけがあれば生きていける光。『ヘヴン』の衝撃から二年。恋愛の究極を投げかける、著者渾身の長編小説。

著者等紹介

川上未映子[カワカミミエコ]
1976年8月29日、大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』が第一三七回芥川賞候補に。同年第一回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第一三八回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ、さされるわ そらええわ』で第一四回中原中也賞受賞。2010年『ヘヴン』で平成二一年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第二〇回紫式部文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

764
言葉も文体も、まるで別人のようだ。ここには、例えば『乳と卵』のような強烈な個性はないのだが、川上未映子さんは、それを捨てて本格的な恋愛小説が書けることを証明して見せた。34歳になった冬子の初恋が描かれる。それは生涯にたった1回限りの恋だ。不安も、煩悶も、そして華やぎもが実に丁寧な筆致で描き出されて行く。初めての本格的なデートの日。美容院で「あなた綺麗な髪してるわねえ」、「化粧栄えするわね」と言われた時、冬子はどんなに心が弾んだことだろう。また、生涯で初めての心のぶつかり合いも経験した。静かな結末も見事。2015/04/10

風眠

381
登場人物に血が通っていないように感じたのは、多分、皆何かが欠けていて、自分の悲しみを認識しないまま、うっすらと纏っているからなのではないか。冬子と三束さんの会話はじれったくて、初めて好きな人と会話を交わす中学生のようだけれど、いい大人になってしまったからこその迷いも感じられる。「自分の誕生日に真夜中一緒に歩いてくれませんか」と、冬子は三束さんに伝えるが、その願いは叶えられることはなかった。嘘という小さな罪を抱えながら、冬子、三束さん、聖の人生は動き出す。読後、再び冒頭のページを読む。そこに答えがあった。2012/02/06

hiro

330
読み始めは、未映子さんの読みにくいけど、詩のようないつもの文体ではなかったので、大変読みやすい文体に、逆に少し違和感を感じた。三束が登場してからは、‘みていると、いらいらする’30台半ばの不器用な主人公冬子と58歳の三束との恋愛が、どのように進むかが気にかかり、一気に読んでしまった。若い二人のラブコメ小説とはまったく違う大人の切ない恋愛小説には、このようなラストがいいのかもしれない。最初に、冬子が昼食にスパゲティをつくるシーンは、未映子さんの昼食の9割がスパゲティなのを知っていたので思わす笑ってしまった。2012/06/03

遥かなる想い

282
本の校閲を職業とする入江冬子 34歳の物語である。 人との付き合いが 苦手な冬子の内面描写が 秀逸である。 58歳の三束さんへの密かな想いが 行間に溢れ、不器用な 冬子にイラつかされるのだが… 誕生日の日の真夜中に恋人と歩きたい …冬子の想いは 届くのだろうか? 最後は 苦く 哀しい 光の物語だった。2018/11/09

takaC

146
文章は心地よかった。タイトルやデザインも良かった。でも自分はこのモチーフは好かない。2017/03/18

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