内容説明
「原型」論、「古層」論…日本思想史に何を見出そうとしたのか。
目次
第1章 強い自己という課題―理念へのコミットメント
第2章 個と政治との関係
第3章 「古層」論の概要―「日本的な歴史主義」の意識化
第4章 「古層」論に基づく日本仏教理解
第5章 可能性の探究と「理念」の模索
著者等紹介
遠山敦[トオヤマアツシ]
1958年、東京生まれ。東京大学大学院人文社会科学研究科博士課程単位取得退学。現在、三重大学人文学部教授。専攻は倫理学・日本倫理思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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greenman
3
丸山眞男氏の「政治論」から「古層論」、さらに「古層論」に基づいた日本仏教理解、最後に福沢諭吉に関する丸山氏の研究と理念への信で締めくくられる。丸山氏の分析はカミソリのように鋭く言葉の所々に見落とせない箇所が多いけれども、かえって分析が鋭すぎて物事をとらえきれなかったのではないかという感想をもった。それこそが丸山氏の偏向だったのかも。 丸山氏にとって主体的に生きることは普遍的理念と自己の矛盾の葛藤から超越性(これもさらなる普遍的理念と自己)を見つけだそうとする過程を生き続けることだったのだろうか。2012/06/07
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
2
この本がいちばんイイね!2014/05/29
けん
1
主体的に生きるには超越性に帰依するしかないという話。わかりやすく具体例を挙げると宗教にどっぷり浸かってる人間は主体的で、状況に応じてポジショントークを繰り返すコウモリ野朗は主体的でない。原型、古層と日本人の気質を分析しつつ、いかにして主体的に生きるかを追求しようとしてるのだが、アメリカみたいな糞国家を生み出したのも超越性への帰依が原因なの?と問われたら丸山さんはなんと答えるのだろうか?2010/12/18
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
0
丸山のいう主体性について、その実現の難しさはよく言われる。田中久文は丸山思想史を通観しつつ「戦後の丸山は、主体性というものが、実は主体性を超えた超越的なもの・普遍的なものとの関わりによってしか成り立たないことに気づいた」んだと述べているし、川崎修は、丸山のいうエートスというのは一体どこからくるのか?という問いに「丸山にとっても一つの重大なアポリアであり続けた」と言う。本書も、主体性には「理念」や「イデー」の存在が不可欠だと認識しながら、その存在をついに明らかにしなかった丸山について語られる。2013/03/19