出版社内容情報
「雪は天からの手紙である」の言葉で知られる物理学者が、科学と文学に業績を残し、近年再評価が進む恩師の思い出を綴った名随筆集。「天災は忘れた頃にやってくる」の名言で知られ、東日本大震災を契機に、その文明観・自然観が近年再び見直されている物理学者・寺田寅彦(1878?1935)。夏目漱石の門下生として「吉村冬彦」の筆名をもち、科学と文学を高い次元で融合させた寺田に間近に接してきた教え子・中谷宇吉郎による、恩師の追想録。
いつも飄然とした姿で実験室に顔を出し、古ぼけた器械を持ち出して「変な実験をやって途方もない理論をそれにくっつける」ような研究をしておられた――。自身も随筆家として名を成した中谷の筆致は、大正から昭和初期の「学問の場」の闊達な空気と、師弟関係の濃密さを細やかに描きだした貴重な記録でもある。「漱石先生に関することども」や、寺田が嗜んだ油絵とセロ、晩年に注力した「墨流しの研究」「墨と硯の研究」の紹介など、その話題は広範囲にわたる。
そして、昭和21年に執筆された「あとがき」には、――私たちの祖国は、今寺田物理学を再認識しなければならない悲しむべき境遇にある――と綴られる。
『寺田寅彦の追想』(甲文社 1947年刊)の文庫化。
第一部
寺田寅彦の追想
文化史上の寺田寅彦
指導者としての寅彦先生
実験室の思い出
札幌における寺田先生
第二部
寅彦夏話
冬彦夜話
寒月の『首縊りの力学』その他
『光線の圧力』の話
線香花火
霜柱と白粉の話
球皮事件
先生を囲る話
第三部
墨流しの物理的研究
墨並びに硯の物理的研究
『物理学序説』の後書
中谷 宇吉郎[ナカヤ ウキチロウ]
著・文・その他
内容説明
近年再評価が進む文理融合の人・寺田寅彦に、最も間近に接した教え子による追想録。「雪は天から送られた手紙である」の言葉で随筆家としても知られる著者の筆致は、大正から昭和初期の学問の場の闊達な空気と、濃密な師弟関係を細やかに描き出す。漱石の思い出や、晩年に注力した「墨流しの研究」の紹介など、話題は広範囲にわたる。
目次
第1部(寺田寅彦の追想;文化史上の寺田寅彦;指導者としての寅彦先生;実験室の思い出;札幌に於ける寺田先生)
第2部(寅彦夏話;冬彦夜話―漱石先生に関することども;寒月の『首縊りの力学』その他;『光線の圧力』の話;線香花火;電柱と白粉の話;球皮事件;先生を囲る話)
第3部(墨流しの物理的研究;墨並びに硯の物理学的研究;『物理学序説』の後書)
著者等紹介
中谷宇吉郎[ナカヤウキチロウ]
1900年石川県生まれ。物理学者。東京帝国大学理学部で寺田寅彦に師事し、卒業後は理化学研究所で寺田の助手となる。北海道帝国大学(のちに北海道大学)教授を務め、1962年没。雪の結晶の研究や、人工雪の開発に成果を上げ、随筆家としても知られる。生地の石川県加賀市に「中谷宇吉郎雪の科学館」がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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